[II-OR14-04] Association between Postpericardiotomy Syndrome and Early Postoperative Endocrine Dynamics.
Keywords:心膜切開後症候群, PPCS, 副腎皮質ホルモン
【背景】心膜切開後症候群(PPCS)は在院期間に影響を与える術後合併症であるが、発症メカニズムは不明である。治療に副腎皮質ホルモンが奏功することに着目し、術後早期の内分泌動態がPPCSの発症に関わるという仮説を検証した。【方法】心臓手術後に集中治療室で24時間畜尿を行い、尿中コルチゾルおよびアルドステロンの1日産生量を評価し得た97例のうち21trisomyを除外した82例を対象とした。水分バランス、血清浸透圧、血行動態指標等とPPCS発症の関連を解析した。【結果】PPCSを発症し治療を要した症例(PE群)は13例(16%)であった。発症までの平均日数は術後8日であった。非発症例(非PE群)と比較し、PE群で手術時月齢、体表面積が大きかった(p<0.01)。両群間で人工心肺時間、大動脈遮断時間、術中輸血の有無や術後中心静脈圧に差はなかった。また、術中の水分出納も両群間で差はなかった。PE群の術後水分出納は非PE群と比較して術後3日まで差はなかったが、術後1日のドレーン排液量はPE群で少なく(p=0.01)、実測GFRはPE群で有意に高かった(p<0.01)。血清浸透圧に差はなかった。術後の内分泌動態については、術後3日までのコルチゾル・アルドステロン値に両群で差はなかった。一方で術後1日から3日までのコルチゾルとアルドステロンの減少率はPE群で有意に高かった(p=0.04)。さらに血清Na値は術後3日までPE群で低値であり術後早期の副腎不全の可能性が示唆された。また、術前BNP値はPE群で低値を示した(p<0.01)。さらに追加検討を行った連続37例(PE群 5例)では術後1日のBNP値もPE群で低値を示した(p<0.01)。術後1日のAVP値は両群で差はなかった【結論】PPCS症例で減少していた周術期副腎皮質ホルモンとBNPは共に抗炎症作用を示すことから、良好な循環と腎機能のために早期に抗炎症物質が減少することがPPCSの病態に寄与する可能性がある。