[II-OR14-05] 当院における新規心不全治療薬の使用経験
キーワード:心不全, 薬物治療, 心筋症
【背景】近年、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)やSGLT2阻害薬(SGLT2i)を始めとした新規心不全治療薬の有効性が成人領域にて報告されている。成人先天性心疾患(ACHD)への使用報告も散見されるが、小児期の先天性心疾患(CHD)及び心筋症等の心不全患者に対してその有効性は明確ではない。当院での使用経験について報告する。【方法】当院で入院・通院中にARNI・SGLT2iを導入した18歳未満の症例21例を対象とした。内訳は女性11例、年齢は1~17歳。疾患は拡張型心筋症7例(内、VAD装着2例、VAD離脱後3例)、拘束型心筋症5例、CHD7例(内、TCPC5例)、その他2例。導入前後の身体所見と検査データを後方視的に検討した。【結果】ARNIを導入したのが11例、SGLT2iを導入15例、両方を導入したのが5例であった。ARNIの導入により10mmHg以上の血圧低下を来したのは10例、SGLT2iの導入により利尿剤の減量が可能であったのは6例であった。ARNIは1例で血圧低下、1例で腎機能悪化により中止した。SGLT2iは1例で低血糖により中止した。【結語】新規心不全治療薬の小児慢性心不全患者への導入は一定の効果を認める症例がある。他方、成人同様の副作用に加えて、小児ならではの低血糖等の副反応も認めるため、注意深い観察が必要である。