[II-OR14-06] Left ventricular systolic and diastolic function in pediatric heart transplant recipients
Keywords:心臓移植, 拡張能, PV loop
【背景】心移植後の成人を対象とした、圧容積曲線解析による左室機能評価が2022年に初めて報告された。心移植後の成人では、安静時の収縮能Eesは正常だがchamber stiffness constant (β)は高値で拡張能障害を認めた。一方で、心移植後の小児を対象とした圧容積曲線解析に基づく心機能障害はこれまで確認されていない。
【目的】心移植後の小児における心機能の特徴を圧容積曲線解析により明らかにする。
【方法】移植後の定期的な心臓カテーテル検査(心筋生検)の際に圧容積曲線解析を施行した。Eesやβは小児における正常値が未報告であるため、計測値にBSA/1.7を乗じて体表面積補正を行い、Kolmogorov-Smirnov検定により健常成人の正常値と比較検討した。
【結果】心移植後の管理を当科で行っている全10人(男性5、女性5)を対象に、計22回の圧容積曲線解析を行った。心移植時のレシピエント年齢は7.7 (4.1-9.0)歳、阻血時間は224 (207-262)分だった。カテーテル検査時の年齢は10.1 (7.6-11.3)歳、全員NYHA I度、BNP 33.5 (19.7-49.9) pg/mL、EF 68.3 (65.3-72.1)%、EDp 7(6-8) mmHg。心筋生検で拒絶反応を認めなかった。
心エコー検査ではE/A 1.6 (1.3-2.2), E/e’ 8.3 (7.9-9.2), DcT 150 (137-169) msと拡張障害は疑われなかった。
圧容積曲線解析ではEes 1.29 (1.02-1.71) mmHg/mL, Ees/Ea 0.85, β 0.025 (0.011-0.032) /mLだった(いずれも体表面積補正した値)。既報の成人正常値(Ees 2.3±1.0, β 0.01±0.01)と比して、Eesは低値, βは高値だった(いずれもp<0.01)。
EesやβはBNP, EDP, LVEFとの相関関係を認めず、圧容積曲線解析を繰り返し施行した症例において、Ees, βともに経時的な変化は認めなかった。
【結論】心移植後小児では健常成人と比べて左室収縮能(Ees)が低く・拡張能(β)が高かった。これらの違いが小児心移植後患者の運動特性に与える影響や健常小児との違いなどが今後の課題と考えられた。
【目的】心移植後の小児における心機能の特徴を圧容積曲線解析により明らかにする。
【方法】移植後の定期的な心臓カテーテル検査(心筋生検)の際に圧容積曲線解析を施行した。Eesやβは小児における正常値が未報告であるため、計測値にBSA/1.7を乗じて体表面積補正を行い、Kolmogorov-Smirnov検定により健常成人の正常値と比較検討した。
【結果】心移植後の管理を当科で行っている全10人(男性5、女性5)を対象に、計22回の圧容積曲線解析を行った。心移植時のレシピエント年齢は7.7 (4.1-9.0)歳、阻血時間は224 (207-262)分だった。カテーテル検査時の年齢は10.1 (7.6-11.3)歳、全員NYHA I度、BNP 33.5 (19.7-49.9) pg/mL、EF 68.3 (65.3-72.1)%、EDp 7(6-8) mmHg。心筋生検で拒絶反応を認めなかった。
心エコー検査ではE/A 1.6 (1.3-2.2), E/e’ 8.3 (7.9-9.2), DcT 150 (137-169) msと拡張障害は疑われなかった。
圧容積曲線解析ではEes 1.29 (1.02-1.71) mmHg/mL, Ees/Ea 0.85, β 0.025 (0.011-0.032) /mLだった(いずれも体表面積補正した値)。既報の成人正常値(Ees 2.3±1.0, β 0.01±0.01)と比して、Eesは低値, βは高値だった(いずれもp<0.01)。
EesやβはBNP, EDP, LVEFとの相関関係を認めず、圧容積曲線解析を繰り返し施行した症例において、Ees, βともに経時的な変化は認めなかった。
【結論】心移植後小児では健常成人と比べて左室収縮能(Ees)が低く・拡張能(β)が高かった。これらの違いが小児心移植後患者の運動特性に与える影響や健常小児との違いなどが今後の課題と考えられた。