第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

術後遠隔期・合併症・発達

一般口演16(II-OR16)
術後遠隔期・合併症・発達2

2024年7月12日(金) 12:40 〜 13:40 第6会場 (4F 401-403)

座長:岩田 祐輔(岐阜県総合医療センター 小児心臓外科)
座長:金子 幸裕(国立成育医療研究センター 心臓血管外科)

[II-OR16-01] 当院における内臓錯位症候群の臨床経過

村岡 衛1, 山村 健一郎1, 福岡 将治1, 小谷 匡史1, 白水 優光2, 田尾 克生2, 倉岡 彩子2, 石川 友一2, 藤田 智3, 中野 俊秀3, 佐川 浩一2 (1.福岡市立こども病院 循環器集中治療科, 2.福岡市立こども病院 循環器科, 3.福岡市立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:内臓錯位症候群, Fontan, 生命予後

【背景】内臓錯位症候群はFontan術前後の有害事象の危険因子として知られ、既知の報告ではFontan術後の10年生存率74%とされている。今回、当院で管理を行った内臓錯位症候群の患者の臨床経過について後方視的に検討した。【対象と方法】西暦2000年以降に出生し、当院で管理を行った内臓錯位症候群の患者を診療録より抽出し、対象患者を右側相同と左側相同に分けて、臨床経過、有害事象、生命予後について調査・検討した。【結果】診療録より臨床経過を追跡できる患者総数は231名で、右側相同患者は178名、左側相同患者は53名であった。右側相同では1名を除き176名が単心室循環で、Fontan手術到達患者は113名(64%)であった。一方、左側相同において二心室循環患者は12名、単心室循環患者は41名であった。二心室循環患者は心内修復術後が11名、機能的修復術後が1名であった。単心室循環患者のうち、Fontan手術到達患者は35名(85%)であった。治療介入を要する先天性消化器疾患の合併は右側相同、左側相同それぞれで33名(19%)と7名(13%)、不整脈の既往はそれぞれで48名(27%)と19名(35%)、左側相同患者では15名がペースメーカー植込術を要した。右側相同患者の8名(5%)は敗血症や細菌性髄膜炎で加療を要したが、左側相同患者では重症感染症の合併はなかった。生命予後について、1年、5年及び10年生存率は内臓錯位症候群全体で86.9%、78.6%、76.8%であった。右側相同及び左側相同それぞれでは84.2%、74.7%、72.3%と96.2%、92.1%、92.1%であった。また、Fontan術後の10年生存率は右側相同では97.2%で、左側相同では10年生存率が100%であった。【結論】当院における内臓錯位症候群の生命予後は右側相同患者より左側相同患者の方が良好な傾向であった。また、既知の報告と比較して、Fontan術後の予後は右側相同、左側相同ともに良好な結果であった。