[II-OR18-02] Clinical characteristics and outcomes of patients with cardiac defects and congenital diaphragmatic hernia
Keywords:横隔膜ヘルニア, 肺低形成, 肺高血圧
【背景】先天性横隔膜ヘルニアに先天性心疾患(CHD)を合併した場合、肺低形成や肺高血圧により管理に難渋することも多い。当院には愛知県の横隔膜ヘルニア症例が集約化されており、本研究でCHD合併例の臨床的特徴と予後を調査した。【方法】2013-2023年に診療した横隔膜ヘルニア124例を対象に、後方視的に検討した。PDA、PFOを除くCHDを合併した24例(19.3%)をCHD合併群、CHDのない100例を対照群とした。【結果】CHD:24例の内訳は、VSD:10例、TGA:2例、CoA/IAA:2例、TOF:2例、DORV:2例、PSv:2例、HLHS、PA/IVS、Isolated PVO、ASD各1例であった。性別、出生週数、胎児診断率は両群に差がなかったが、出生体重の中央値はCHD合併群で低く(2440g vs 2777g、p<0.01)、染色体及び遺伝子異常を伴う症候群はCHD合併群で多かった(29.1% vs 8.0%、p<0.01)。NO使用率、ECMO施行率は両群に差を認めなかった。CHD合併群の生存率は対照群に比べ、生後1か月(54.2% vs 82.0%)、3か月(45.8% vs 81.0%)、1年(41.7% vs 79.0%)とも有意に低かった(p<0.01)。新生児、乳児期に介入を要するCHDに胸腔内への肝挙上を伴った10例は全例失っていたが、肝挙上のない症例ではTGA、IAAなど重症心疾患もtotal repairを経て救命されていた。単心室血行動態の2例は生後すぐ低酸素血症により失った。3か月以上生存し、肺血管拡張薬を継続していた症例はCHD群:11.8%、対照群:7.4%であった。目的変数を死亡、説明変数を出生週数、体重、染色体及び遺伝子異常を伴う症候群、肝挙上、CHD合併としロジスティック回帰分析を行うと、出生週数(p<0.05)、肝挙上(p<0.01)、CHD合併(p<0.01)が死亡の独立した危険因子であった。【考察・結論】先天性横隔膜ヘルニアの2割にCHDを合併し、肝挙上を伴う症例の予後は不良であった。対して肝挙上がなく肺低形成が軽度の場合、複雑型二心室疾患でも集学的治療を経て救命が可能であると考えられた。