[II-OR18-03] 超早産児の気管支肺異形成における軽度肺高血圧(21-24mmHg)の意義 -心臓カテーテル検査による肺血行動態と肺血管造影所見から-
キーワード:肺高血圧, 気管支肺異形成, 早産児
【背景】最近の小児PH登録研究では、気管支肺異形成(BPD)などのdevelopmental lung disorderは最も頻度の高い要因である。生後6か月以上生存するBPDに伴う肺高血圧(BPD-PH)患者の多くは、経過観察中の心エコーでPH所見が消失すると報告があるが、この患者群における心臓カテーテル検査(心カテ)での肺血行動態、肺血管造影像は明らかではない。【目的】心カテによりBPD-PH患者における遠隔期の肺血管障害を評価する。【方法】2018-2020年に妊娠28週未満で出生した児(n=56)で、修正40週時にPHスクリーニングを行い、BPD-PHと診断され治療・経過観察した患者(n=10)を心カテ、pulmonary wedge angiographyで評価した。【結果】対象は連続10例で、在胎期間(中央値(四分位範囲)以下同)は24(23-25)週、体重604(569-759)g、修正40週時の心エコーでPH( 左室eccentricity index[LVEI]: 1.25±0.15、肺動脈収縮期加速時間/駆出時間[PAAT/ET]: 0.24±0.04)を認めた7例がSildenafilを開始した。9例がNICU退院時に呼吸補助(酸素療法[n=7]、高流量酸素療法[n=2])を要し、4例が先天性心疾患(心房中隔欠損[n=3]、動脈管開存[n=1])を合併した。心エコーでPHは経時的に消失し、心カテ時に明らかなPHは認めなかった(LVEI: 1.03±0.03, p<0.05、PAAT/ET: 0.33±0.07, p<0.05、vs. 修正40週)。心カテは生後25(19-32)か月時に行い、平均肺動脈圧21(19-22)mmHg、肺血管抵抗係数(PVRi) 2.63(1.95-2.94)WU・m2で、5例で末梢肺動脈発育不良を認めた。7例中5例がmild PHまたは高PVRiに対してSildenafilを継続した。【考察】生後1年以上生存したBPD-PH患者は心エコーでPHが消失していたが、心カテでは10例中5例(50%)がmild PH(21-24mmHg)を有し、末梢肺動脈発育不良を認めた。【結論】mild PHを含めるとBPD-PHの罹患率は高い可能性があり、心エコーでの評価には注意を要する。成人期を含む長期予後を見据えBPD-PHの管理方法の確立が課題と考えた。