[II-OR20-01] Initial intravenous immunoglobulin therapy without aspirin for acute Kawasaki disease: A retrospective cohort study with a Bayesian inference
Keywords:川崎病, アセチルサリチル酸, 免疫グロブリン
【背景】 川崎病の急性期治療において、大量免疫グロブリン(IVIG)療法と併用されるアセチルサリチル酸(ASA)の必要性について、現在まで明確な根拠は確立されていない。【目的】急性期川崎病の治療において、ASAの投与がIVIG療法の効果に与える影響を明らかにする。【方法】 2016年1月から2020年12月に、国内8施設で川崎病と診断され、発症から4日以降10日以内に入院した10歳以下の患者を対象とした後向きコホート研究。初期IVIG療法に高用量(HD)ASAを併用する6施設(HD群)と、ASAを通常投与せず冠動脈病変(CAL)または心嚢液の出現時にのみ低用量ASAを投与する2施設(非HD群)で治療された患者を比較した。主要アウトカムは発症1か月以内(一過性を含む)のCAL(>+2.5SD)、副次アウトカムは初回IVIG療法に対する反応性とし、修正ポアソンモデルを用いて調整リスク比を推定した。各施設における患者背景差の影響を低減する目的で、3か月~10歳かつ小林スコア4点以下の患者集団に対して、ASAの効果に対する確信度を反映した4種類の事前分布を設定し、ベイズ統計に基づいて事後分布を算出した。【結果】HD群333名、非HD群402名、計735名を解析対象とした。CALの発生率はHD群と非HD群で有意な差は認められなかった(HD群:12/333 [3.6%]、非HD群:15/402 [4.0%])。初期IVIG療法への非反応割合も両群間で類似していた(HD群:78/333 [23%]、非HD群:83/402 [22%])。ベイズ統計を用いた解析では、HD併用に対して極めて肯定的な事前分布を用いても、HD群がCALリスク発生を2%以上低減させる可能性は9.3%に過ぎなかった。【考察】 急性期川崎病において、初期IVIG療法に画一的にASAを併用しない治療法は、CAL増加と関連しないことが示唆された。【結論】川崎病の急性期治療において、画一的にASAを併用しない治療方針はCAL発生リスクを増加させず、選択肢として考慮されうる。