[II-OR20-03] Myocardial ischemia associated with abnormal aortic valve leaflets
Keywords:低形成左冠尖, 冠動脈狭窄, 心筋虚血
【背景】大動脈弁尖の低形成は、冠動脈口の狭窄を引き起し起し、突然死をきたす可能性がある。【症例】(症例1)22日齢の女児。膜様部流出路型VSDで近医通院中。啼泣後の顔色不良と循環不全で搬送された。心電図でST低下、経胸壁心エコー図検査(TTE)で左室前壁運動低下、逸脱酵素上昇を認め、LCA領域の心筋虚血と診断した。血管造影で冠動脈起始異常は認めず、低形成左冠尖による異常なポーチ形成と造影剤の排出遅延を認めた。その後も啼泣や鎮静に伴い顔色不良になる事象を繰り返し、TTEで啼泣に伴う大動脈弁逆流の増悪を認めた。頻脈や低血圧により左冠尖に拡張期の血液充満が不足し、半袋状の弁腹の位置が変化し、弁尖による冠血流障害を疑った。手術は低形成左冠尖を伴う大動脈四尖弁を認め、VSD閉鎖により弁尖の接合が改善し、大動脈弁逆流と虚血発作は改善した。(症例2)1か月の男児。突然の顔色不良と呼吸窮迫で搬送された。心電図でST変化、TTEで前側壁無収縮を認め、急性心筋梗塞と診断した。循環維持困難でECMOを導入した。開胸下の経心膜心エコー図検査で低形成左冠尖による左冠動脈口の閉塞が描出された。緊急で大動脈弁形成術を施行し、冠血流の改善を得たが、心機能は回復せず、1か月後に永眠した。(症例3)4歳の男児。停留精巣手術の麻酔導入時、啼泣に伴いST低下を認めた。TTEで低形成左冠尖と軽度大動脈弁逆流、心筋シンチで左室前壁の負荷血流低下を認めた。血管造影で左冠動脈は順行性血流が乏しく、右冠動脈から側副血行により造影された。低形成左冠尖による冠血流障害と診断した。他院で大動脈弁形成術を施行され冠血流は改善した。【考察】これらの症例は、低形成大動脈弁尖による冠血流障害を認めた一連のスペクトラムの疾患であり、心筋虚血から突然死を引き起こす可能性があることを示している。小児における心筋虚血の原因として低形成大動脈弁尖の鑑別が必要である。