The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Oral Session

川崎病・冠動脈・血管

Oral Session (II-OR20)

Fri. Jul 12, 2024 10:20 AM - 11:20 AM ROOM 7 (4F 404-406)

座長:上野 倫彦(手稲渓仁会病院 小児科)
座長:深澤 隆治(福寿会病院 小児科)

[II-OR20-04] Quantitative proteomic analysis of predictive biomarkers for coronary artery lesions in Kawasaki Disease

大西 佑治1, 岡田 清吾1, 岸 博子2, 元永 貴大1, 安戸 裕貴1, 宮本 達雄2, 小林 誠2, 長谷川 俊史1 (1.山口大学大学院医学系研究科医学専攻 小児科学講座, 2.山口大学大学院医学系研究科医学専攻 分子細胞生理学講座)

Keywords:川崎病, バイオマーカー, プロテオミクス

【背景】これまでに川崎病冠動脈病変予測マーカーは多く報告されているが、確立したものはない。液体クロマトグラフィー/質量分析 (liquid chromatography/mass spectrometry; LC/MS) 法は液体クロマトグラフで分離した種々の成分をイオン化させ、質量電荷比ごとに分離して検出する分析方法であり、新規バイオマーカーの網羅的探索に有用である。今回LC/MS法を用いて川崎病冠動脈病変予測マーカーとなり得る候補タンパク質の解析を行った。【方法】2014年1月から2021年12月に山口大学医学部附属病院小児科で入院加療を行った川崎病症例299名のうち、冠動脈病変合併症例5名と、年齢および性別を適合させた冠動脈病変非合併症例5名の治療前血清をそれぞれプール血清とし、LC/MS法で解析した。さらにLC/MS法で検出した候補タンパク質について、個々の患者の血清濃度をenzyme-linked immuno-sorbent assay(ELISA)法で測定し、冠動脈病変合併症例および非合併症例で比較検討した。【結果】年齢、性別および血液検査所見について、冠動脈病変合併症例および非合併症例に有意差はみとめなかった。LC/MS法で全84種類のタンパク質が検出され、6種類のタンパク質が冠動脈病変合併症例で有意に低比率であった。6種類の候補タンパク質のうち、histidine-rich glycoprotein(HRG)が最も低い比率およびp値を示した (冠動脈病変合併症例 vs. 非合併症例; 1.0 vs. 10.0; p = 0.003)。ELISA法での比較検討では、冠動脈病変合併症例が非合併症例に比較し血清HRGが有意に低値であった(252.5 [100-278.6] μg/ml vs. 293.7 [262.4-466.2] μg/ml; p = 0.037)。【考察】敗血症においてHRGはhigh mobility group box 1およびその受容体の発現抑制を介した血管内皮細胞障害の抑制作用が報告されている。今回の結果からHRGは川崎病血管炎に対しても保護的に作用しており、冠動脈病変予測バイオマーカーとなる可能性が示唆された。