[II-OR20-06] J-MKC Registry (Registry for MIS-C, KD, and COVID-19 in Japan): treatment option and the coronary artery lesions
Keywords:COVID-19関連小児多系統炎症性症候群, ステロイド, 冠動脈病変
【背景と目的】COVID-19関連小児多系統炎症性症候群 (MIS-C)の治療は、大量ガンマグロブリン療法 (IVIG)とステロイドが主であるが、日本においては統一プロトコールがない。また、治療反応性と冠動脈病変 (CAL)についても不明である。本研究は、MIS-C全国調査の結果から、本邦での治療とCALについて明らかにすることを目的とする。【方法】重症・中等症小児COVID-19及びMIS-C全国調査共同研究 (J-MKC Registry)に2023年7月までに登録されたMIS-C症例 (n=129)のうち、初期治療としてIVIG単独症例 (単独群)とIVIG+ステロイド併用症例 (併用群)を対象とした。治療開始日、検査所見、初期治療に不応で追加治療を要した割合、CAL (Z score≧2.5)を比較した。【結果】単独群 (n=68)と併用群 (n=55)の年齢はそれぞれ 8.9±3.6 歳 vs. 8.6±3.9歳 (p=0.630) 。初期治療は4病日(IQR 4-5) vs. 4病日 (IQR 3-6) (p=0.634) で開始された。CRP 8.3 mg/dL (IQR 5.7-13.3) vs. 10.2 mg/dL (6.5-15.3) (p=0.12)、L V E F最低値 56.6±11% vs. 55.7±13% (p=0.752)。追加治療を要した割合は、50.0% vs. 30.9% (p=0.033)。退院時にCALは8例 (6.3%)あり、初期治療 (単独群 n=5 (7.4%) vs. 併用群 n=3 (5.5%) ,p=0.482 )や追加治療との関連はなかった (なし 4例 (5.2%) vs. あり4例(7.7%), p=0.411)。追加治療は、IVIG (n=39)、ステロイド (n=17、うちパルスn=5)、インフリキシマブ (n=8) 、シクロスポリン (n=8)が投与され、生物学的製剤やECMO例なし。また死亡例はなかった。【考察】ステロイド併用群の方が重症例が多かったが、初期治療不応例は少なかった。既報と同様に、本邦のMIS-C治療においては、ステロイドの併用は有用である可能性がある。CALの頻度は少なく、治療との関連は明らかではないが、退院時にもCAL残存症例があり、長期フォローが重要である。