[II-OR21-01] Our surgical strategy for the transposition of the great arteries
Keywords:大血管転位症, 動脈スイッチ手術, 冠動脈
【目的】完全大血管転位症(TGA)に対する当院の手術戦略として、典型的な冠動脈形態の症例に関しては術者に関わらず安全かつ正確な修復を行うべく、体外循環前の冠動脈移植予定部位マーキングおよびOblique coronary transfer techniqueの採用を行っている。一方、非典型的な冠動脈形態の症例に関してはaortic sinus pouch(AP)法やMee法などを症例に合わせ選択している。
【方法】2005年から2023年でTGAに対し外科的介入を行った連続90例を対象とした。手術時日齢/体重の中央値は15.5日(6日~5ヶ月)/3.2kg(2.0kg~6.2kg)であった。診断はTGA(I)が57例(63.3%)、TGA(II) 23例(25.6%)、TGA型両大血管右室起始症 10例(11.1%)であった。合併疾患は房室中隔欠損症 1例、大動脈縮窄および離断症 8例。冠動脈形態はShaher 1型と2型で68例(75.6%)を占めていた。主な併施術式は大動脈弓再建が8例、肺動脈(PA)絞扼が10例であった。83例(92.2%)でPA再建にLecompte法を用いた。冠動脈再建はtrap-door法を基本としたが(80例; 88.9%)、他にAubert法を2例、AP法 3例、Murthy法 1例、Asou法 1例、壁内走行を伴う3例にはMee法を適用した。
【成績】観察期間の中央値は7.5年(最長18.5年)。早期死亡は低心拍出症候群の1例、遠隔期死亡は3例(不明 2例、感染 1例)。生存率は5/10/15年で97.7/92.2/92.2%。予定外の再手術は12例で、5/10/15年再手術回避率は87.4/84.6/79.0%であった。PA拡大形成が6例、大動脈弁/弁上に対する介入が3例あった。新大動脈弁は86例(95.6%)でmild以下であった。平均PA流速はそれぞれ左が2.3m/s、右が2.4m/sであった。術者間で結果に有意差は認めなかった。
【結論】当院での動脈スイッチ手術の結果は満足いくものであった。典型的な冠動脈走行の症例に対しての術式は標準化を実現できていると感じるが、非典型的な冠動脈走行の症例に対する術式選択にはまだ改良の余地があり、遠隔期成績と合わせて観察が必要である。
【方法】2005年から2023年でTGAに対し外科的介入を行った連続90例を対象とした。手術時日齢/体重の中央値は15.5日(6日~5ヶ月)/3.2kg(2.0kg~6.2kg)であった。診断はTGA(I)が57例(63.3%)、TGA(II) 23例(25.6%)、TGA型両大血管右室起始症 10例(11.1%)であった。合併疾患は房室中隔欠損症 1例、大動脈縮窄および離断症 8例。冠動脈形態はShaher 1型と2型で68例(75.6%)を占めていた。主な併施術式は大動脈弓再建が8例、肺動脈(PA)絞扼が10例であった。83例(92.2%)でPA再建にLecompte法を用いた。冠動脈再建はtrap-door法を基本としたが(80例; 88.9%)、他にAubert法を2例、AP法 3例、Murthy法 1例、Asou法 1例、壁内走行を伴う3例にはMee法を適用した。
【成績】観察期間の中央値は7.5年(最長18.5年)。早期死亡は低心拍出症候群の1例、遠隔期死亡は3例(不明 2例、感染 1例)。生存率は5/10/15年で97.7/92.2/92.2%。予定外の再手術は12例で、5/10/15年再手術回避率は87.4/84.6/79.0%であった。PA拡大形成が6例、大動脈弁/弁上に対する介入が3例あった。新大動脈弁は86例(95.6%)でmild以下であった。平均PA流速はそれぞれ左が2.3m/s、右が2.4m/sであった。術者間で結果に有意差は認めなかった。
【結論】当院での動脈スイッチ手術の結果は満足いくものであった。典型的な冠動脈走行の症例に対しての術式は標準化を実現できていると感じるが、非典型的な冠動脈走行の症例に対する術式選択にはまだ改良の余地があり、遠隔期成績と合わせて観察が必要である。