[II-OR21-02] How I teach arterial switch operation
Keywords:完全大血管転位症, 動脈スイッチ手術, 手術標準化
【目的】新生児の手術成績は大きく向上し、若手心臓外科医にとっても動脈スイッチ手術を初回から良好な手術成績をおさめる必要がある。指導医も地域拠点化が進むにつれ他施設への手術支援が増えることが予想される。難易度の高い手術も典型的な症例では単純化することが、手術成績の安定に重要と考えられ、今回、他施設への動脈スイッチ手術の手術支援の経験をもとに動脈スイッチ手術の標準化について報告する。【結果】症例提示:日齢10男児、体重2.6kg、胎児診断無。診断は完全大血管転位症、心室中隔欠損なし。日齢8にBAS施行。冠動脈Shaher 1. 事前準備は、1.指導医の手術ビデオを共有。2.執刀医に手術手順を書いてもらう。3.手術手順の確認(電話)を行い、4.術当日、画像所見とともにbriefingを行った。手術においては、剥離操作、人工心肺確立、大動脈切開、冠動脈ボタン採取、冠動脈移植、大動脈再建、肺動脈再建の手順がある。すべてが重要であるが、執刀医にとって冠動脈移植が最もストレスがかかる。術前心臓エコー検査にて両大血管の交連部が一致していることが多いが、このような典型的な症例では、冠動脈の移植位置は交連の真ん中から切開しST junctionの少し手前で内側に切り込むtrap doorを行うと、通常の冠動脈移植は問題なく行える。冠動脈吻合後に内側から観察し、追加縫合を内側から行うと止血は容易である。本症例では、初回手術であり大動脈遮断時間は181分と長かったが、手術時間は7時間28分で、冠血流、心機能も良好で、止血も容易であった。術後1年の心臓カテーテル検査でも冠動脈や心機能等も問題なかった。初回執刀医の手術ビデオにて各手術手順を説明し、動脈スイッチ手術の標準化について供覧する。【結語】典型的な動脈スイッチ手術は、新生児手術で確立できないといけない手技であり、複雑な手術も単純化することで再現性をもって安全に手術を行うことができると考えている。