第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

機能的単心室

一般口演22(II-OR22)
機能的単心室

2024年7月12日(金) 16:40 〜 17:40 第7会場 (4F 404-406)

座長:太田 教隆(愛媛大学大学院医学系研究科 心臓血管呼吸器外科)
座長:芳村 直樹(富山大学第1外科)

[II-OR22-03] HLHSにおけるGlenn後のadditional flowとしての右室肺動脈導管が肺動脈に及ぼす影響

金谷 知潤, 津村 早苗, 三輪 晃士, 手繰 優太 (大阪母子医療センター)

キーワード:HLHS, RVPA, Additional flow

【背景】左心低形成症候群(HLHS)の中で、肺動脈成長や高い酸素飽和度を期待し、Glenn手術時に右室肺動脈導管(RVPA)をadditional flowとして残す場合がある。しかし、このRVPAがFontan到達に有用な役割を果たしているかは分かっていない。【目的】HLHSの症例で、Glenn時に残したRVPAが肺動脈に与える影響を検討する。【方法・対象】対象は2010年から2023年のHLHSの症例で、Norwood+RVPA後にGlenn手術を行った15例。疾患の内訳はMS/ASが10、MA/ASが2、MS/AAが2、MA/AAが1例であった。Norwood+RVPAを行った年齢の中央値は37.5(19-269)日、体重は3.1(2.6-4.4)kg。Glenn時にRVPAを残している群をAF群(n=10)、残していない群をNAF群(n=5)とし、Glenn前後の肺動脈径について2群のデータを比較した。【結果】Fontan到達は15例のうち10例(66%)。Fontan待機中の5例は全てAF群であった。Fontan到達例(n=10)のFontan術前のカテーテル検査では、SaO2は79.9±2.0 %、PAI 179.5±40.6 mm/m2であった。両群において、Glenn前のPAI、右肺動脈(RPA)径、 左肺動脈(LPA)径に有意な差はなかった。一方、Glenn前後で、PAI は151.5±48.3から179±43.6 mm/m2(P=0.02)と増加した。また、RPA径は78.6±17.2から81.6±12.6 % of normal (P=0.004)と有意に大きくなっていたが、LPA径は79.2±17.2から69.4±16.2 % of normal (P=0.002)と有意に小さくなっていた。さらに、NAF群では、Glenn前後でPAI、rtPA径、ltPA径 (% of normal)に有意な変化は認めなかったが、AF群では、RPA径が79.2±17.5から84.3±13.2 % of normal (P=0.02)と増加し、LPA径は79.1±13.3から68.3±14.6 % of normal (P=0.017)と減少しており、AF群のGlenn後の肺動脈の左右差の変化が有意に示された。【まとめ】Additional flow として残したRVPAが、肺血流不均衡を誘発する可能性があり、その適応は慎重にするべきであると考えられた。