The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Poster Session

集中治療・周術期管理

Poster Session(II-P01-2)

Fri. Jul 12, 2024 12:40 PM - 1:40 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:大崎 真樹(東京都立小児総合医療センター)

[II-P01-2-06] Feasibility of Pleurodesis for Chylothorax Following Cardiac Surgery in Congenital Heart Disease

八鍬 一貴1, 山崎 友也1, 辻 龍典1, 小泉 淳一1, 齋木 宏文2, 金 一1 (1.岩手医科大学附属病院 心臓血管外科, 2.岩手医科大学附属病院 小児科)

Keywords:術後乳び胸, 胸膜癒着術, 術後合併症

【背景】小児心臓手術後に乳糜胸水を発症する頻度は1-5%と報告され、しばしば治療に難渋する。長期にわたりドレナージすることで栄養の低下や免疫能低下を来すことがあり、時として致命的となり死亡率は6-17%と報告されている。【目的】先天性心疾患術後に見られる乳糜胸の発生頻度、原疾患、治療、死亡率について検討を行う。【方法】2019年9月年以降岩手医科大学附属病院にて先天性心疾患に対して行われた390例の心臓手術の全患者においてデータベース上で乳糜胸が合併症として登録された23症例を対象とし、患者背景、胸水量の経過、治療について後方視的に収集した。心臓術後でも直後に他手術が行われた場合や経過が不明瞭な場合は除外とした。乳糜胸の診断基準は胸水検査にて白血球の80%以上がリンパ球であることもしくは中性脂肪が1dLあたり110mg以上含まれていることのいずれかを満たすものとした。【結果】対象は22症例。1症例は心臓手術後に食道閉鎖症手術を施行され、その合併症としての乳糜胸の可能性があると判断したため除外した。日齢は中央値13,手術時体重は中央値3.0kgであった。既往に前回手術後の乳糜胸がある症例は1例であった。全例に胸水検査が施行されていたが4症例は乳糜胸の基準を満たさなかった。全例にMCT(Middle Chain Triglyceride)ミルクもしくは絶飲食を含んだ脂肪制限が行われており、10例が食事療法のみで軽快していた。オクトレオチドは8例に投与された、13因子製剤は9例に投与された。ミノマイシンによる胸膜癒着術施行例は4例あり、そのうち1例にタルクによる胸膜癒着術が追加されていた。胸膜癒着術が行われた症例は全例軽快していた。全体例での死亡例は6例であり、乳び胸発症症例における死亡症例は1例であった。【結論】当院における乳糜胸発症率はこれまでの報告と大きく異なるものではなかった。胸膜癒着術を施行した群では死亡例なく、全例が軽快しており有効と考えられた。