第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

集中治療・周術期管理

ポスター発表(II-P01-2)
集中治療・周術期管理1

2024年7月12日(金) 12:40 〜 13:40 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:大崎 真樹(東京都立小児総合医療センター)

[II-P01-2-10] 山梨県における先天性心疾患の新生児搬送の現状

河野 洋介, 菊地 夏望, 須長 祐人, 吉沢 雅史, 犬飼 岳史, 長谷部 洋平 (山梨大学 医学部 小児科)

キーワード:新生児搬送, 集約化, 連携施設

【背景】わが国を取り巻く小児循環器医療環境の変化に対応するため、『先天性心疾患の手術を行う施設の集約化(地域拠点化)に関する提言』が取りまとめられた。山梨県は小児人口規模の小ささゆえに小児病院を有しておらず、また、年間手術件数も限られていることから、県内における拠点病院を有していない。また、集約化に向けての解決すべき問題点の一つとして、先天性心疾患と診断された新生児を適切かつ安全に拠点施設まで搬送することが挙げられる。今回、山梨県における先天性心疾患患者の新生児搬送症例を振り返り、その現状について報告する。【対象・方法】2021年10月から2023年12月までに当院NICUに入院した患者のうち、先天性心疾患に対する手術目的に拠点病院へ新生児搬送を行った症例。診療録をもとに後方視的に検討した。【結果】症例は5例、TAPVCが2例、Arch形成を要する疾患群が3例であった。TAPVC 2例はいずれも県内他施設での出生であり、胎児診断はされておらず、PVOを呈していたことから日齢0に緊急搬送を行った。残り3例は日齢2~10に準緊急的に搬送を行った。ドクヘリによる空路搬送は2例、救急車での陸路搬送は3例であったが、緊急搬送の2例はいずれも夜間のため救急車による搬送であった。搬送後から初回手術までの待機日数は、全症例で1日以内であった。1例で搬送後に手術治療を望まない症例があった。【考察・結語】搬送後の手術待機日数は短期間であり、拠点施設と連携した対応がとれていた。一方で、TAPVCは他施設で出生した場合には時間的制約から救急車での搬送となっていた。搬送中の児の容態変化が懸念されることからも、胎児診断・搬送システムの向上を要すると考えた。