[II-P01-3-01] 免疫グロブリン療法不応の川崎病に対するインフリキシマブの有用性 -PEACOCKサブ解析-
キーワード:川崎病, インフリキシマブ, 免疫グロブリン製剤供給不足
【背景】免疫グロブリン(IG)療法不応の川崎病に対して,ガイドラインではインフリキシマブ(IFX)が2nd line以降に位置付けられている.昨今のIG製剤の供給不足もあり,代替としてIFXが期待される.【目的】IG不応例に対するIFXの有効性を明らかにする.【方法】本研究は,川崎病の急性期治療の有効性に関する多施設共同前向きコホート研究(PEACOCK)の二次データを利用した.2016年7月から2024年1月までに登録され,急性期治療でIFXを使用した症例を対象とし,患者背景,IFX投与の時期,反応性,心臓超音波検査データの推移を調査した.【結果】研究期間中に2003例の登録があり,うちIFX使用は73例であった.年齢は3.1±2.4歳で男児が43例(59%)を占め,小林スコアは4.7±3.0点と高値を示した.2nd line(中央値6.5病日)で投与した4例は全例で奏功し,3rd line(中央値9.0病日)で投与した69例についても44例(64%)で解熱が得られた.冠動脈径Zスコアは治療開始前→1か月後でそれぞれ,右冠動脈が0.43→0.82,左前下行枝が0.25→0.62と若干の増加を認めた.発症1か月後の冠動脈径Zスコア(最大値)は2以上2.5未満を2例(3%),2.5以上5未満を4例(5%),5以上10未満を2例(3%)に認め,いずれも3rd lineでの投与症例だった.冠動脈狭窄や心筋梗塞を生じた例はなく,重篤な有害事象を2例に認めたが,2例とも急性肝障害でアスピリン中止後に改善した.【考察】IFXは重症例に多く使用されていたが,高い奏効率が得られており,IFXに関連した重篤な有害事象は認めなかった.今後,2nd lineでのIFX使用症例が増加する可能性があり,その影響を検討したい.