第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

川崎病・冠動脈・血管

ポスター発表(II-P01-3)
川崎病・冠動脈・血管3

2024年7月12日(金) 12:40 〜 13:50 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:長井 典子(岡崎市民病院 小児科)

[II-P01-3-07] COVID-19感染に関連した小児多系統炎症性症候群と川崎病ショック症候群の比較

藤原 孝史, 竹田 義克, 本多 真梨子, 谷内 裕輔, 藤田 修平 (富山県立中央病院 小児科)

キーワード:KDSS, MIS-C, COVID-19

【緒言】小児多系統炎症性症候群(MIS-C)は川崎病と類似した症状を呈するが左心機能低下からショックを引き起こし、時に集中治療を必要とする。また川崎病ショック症候群(KDSS)と臨床像が大部分で重複しているとされる。両者は冠動脈病変の合併リスクが異なるため鑑別が重要であるが、臨床的に両者を鑑別する要因は定まっていない。【症例】7歳の男児。8週前にCOVID-19の罹患歴を認めた。第5病日に発熱遷延するため当院を受診し、受診時には川崎病主要徴候をすべて満たした。抗生剤を投与したが解熱せず、第6病日に消化器症状、血圧低下、心エコー図検査での左室収縮能低下を認めたことからMIS-Cと診断した。大量免疫グロブリン療法(IVIG)、プレドニゾロン(PSL)の投与を開始し、第7病日には解熱傾向となった。左室収縮能低下が遷延したため第9病日からミルリノンを開始し、速やかに左室収縮能は改善した。冠動脈病変は認めなかった。T細胞受容体レパトア解析ではVβ21.3陽性細胞の増多を認めた。【症例2】7歳の女児。第1病日より後頭部痛と発熱を認めた。第5病日に全身の紅斑が出現し、第7病日に発熱が遷延するため当院を受診した。頚部リンパ節腫脹、眼球結膜充血、口唇紅潮を認め川崎病主要徴候5/6を満たした。COVID-19抗原検査陽性で急性期の感染があり、消化器症状は認めなかった。心エコー図検査で左室収縮能低下、冠動脈拡張がありMIS-Cを鑑別にあげIVIG、PSLによる治療を開始した。その後第9病日には解熱傾向となり、左室収縮能は改善したが、冠動脈拡張が続き、ウリナスタチンを併用しながらIVIGの再投与を行った。発症1ヶ月後も冠動脈拡張は残存している。T細胞受容体レパトア解析ではVβ21.3陽性細胞の増多はなく、COVID-19の急性期感染であることから最終的にKDSSと診断した。【結語】KDSSとMIS-Cを鑑別するためにはCOVID-19の罹患歴の他、消化器症状の有無、免疫学的評価が診断の一助となる。