[II-P01-5-02] ファロー四徴症遠隔期PVR後に右室拡大の改善が乏しい症例の検討
キーワード:ファロー四徴症, 右室容積減少率, 右室収縮末期係数
【背景】ファロー四徴症(TOF)術後の肺動脈弁逆流(PR)に対する肺動脈弁置換術(PVR)の適応は、有症状の重度PRや、右室拡大(RVEDVI≧160ml/m2やRVESVI≧80ml/m2)、右室収縮低下、運動耐用能低下、心電図QRS幅等で判断される。PVRによって右室拡大の改善が期待されるが、実際にPVR後に右室拡大の改善が乏しい症例も経験する。【目的】PVR後に右室拡大の改善が乏しい症例の特徴を検討する。【方法】 2011-18年に当院でPVRを行った34例を対象とし、手術前後MRIのRVEDVIを用いて右室容積減少率=(術前RVEDVI-術後RVEDVI)÷術前RVEDVIを求めた。PVRで制御されたPRの分右室仕事量は減少すると想定し、右室容積減少率>術前PR率のものをGood reduction(G)群、右室容積減少率<術前PR率をPoor reduction(P)群とし、両群間でNYHA、心電図QRS幅、TR、PR率(%)、RV/LVのEDVI、ESVI(ml/m2)、EF(%)を比較した。【結果】疾患はTOF 28例、TOF+PA 5例、TOF+PA+MAPCA 1例で、ICR年齢は3.0(2.0-5.0)歳、PVR年齢は28.5(18.0-47.5)歳であった。術前PR率45(22-54)で術前RVEDVI 158.9(142.1-213.3)と拡大していたが、術後RVEDVI 109.0 (98.9-128.4)(p<0.05)で全例で右室拡大は改善していた。そのうちG群:13例 vs P群:21例で、両群間でICR年齢、PVR年齢、術前NYHA、QRS幅は有意差なかった。術前PR率はP群で高く(24vs 47, p=0.02)、有意差はなかったが中等度以上のTRの割合もP群で高かった(23 vs 35, p=0.06)。術前RVEDVIは209 vs 151(p=0.15)、EFは40 vs 43(p=0.67)で有意差はなかったが、RVESVIは101vs 82(p=0.04)とP群で小さかった。そのほかのパラメータには有意な差はなかった。【結語】 通常、RVESVI拡大は右心機能低下を示唆する所見であるが、今回の検討ではPRやTRが多いにも関わらず、術前のRVESVIが小さい症例でPVR後の右室拡大の改善が乏しかった。その要因は不明だが、ICR以前のもともとの右室サイズ等も検討すべきかもしれない。