[II-P01-5-05] TGA III型でRastelli手術後に早期に心室中隔欠損症の狭小化に伴う左室流出路狭窄が進行した2例
キーワード:TGA, LVOTS, VSD
【背景】TGA III型は修復手術後もLVOTSの出現が問題となることがある。術後VSDの狭小化が進行したTGA III型患者2例を経験したので報告する。【対象】症例1:4歳5ヶ月の女児。出生体重3154g、肺動脈二尖弁、PVD 7.2mm(115%ofNAoV)、AVD 9.3mm(150% ofN)、VSD (膜性部) 11.7mm(187%ofNAoV)、房室弁straddling(-)。肺動脈弁下狭窄高度、肺動脈二尖弁でありJatene手術は困難と考えられた。日齢6にBAS、日齢20にmBTS、月齢8ヶ月でRastelli施行、異常筋束削除を行った。3歳4ヶ月時の心エコーでVSD 7.3mm(60%ofNAoV)と狭小化を認め、圧較差53mmHgとLVOTSを認めたため、LVOTS解除を検討中である。症例2:2歳5ヶ月の男児。出生体重3214g、肺動脈二尖弁、PVD 3.5mm(54% ofNAoV)、AVD 7.1mm(109%ofN)、VSD(膜性部) 7.6mm(116%ofNAoV)、房室弁straddling(-)。日齢2にB A S、月齢3ヶ月でmBTS、月齢8ヶ月でRastelli施行、VSDは12mm程度と大く三尖弁輪と繋がっており拡大はせず。1歳8ヶ月時の心エコーでVSD 5.3mm(116%ofNAoV)と狭小化し、LVOTS進行を認めた。心臓カテーテル検査でLV-Ao間で圧較差50mmHgを認め、2歳5ヶ月でLVOTS解除及び導管交換を行なった。【結果】Rstelli手術後のLVOTSの原因は術後左室容量の増量によりV S Dが制限的になることや、右心室圧の上昇が中隔の肥大と左方への変位を引き起こすことが報告されている。術後半年後の心臓カテーテル検査では、左室容積は症例1で167%ofN、症例で149%ofNと拡大を認めたが、右室圧は両症例ともに上昇を認めなかった。手術時期として1歳未満での施行はLVOTSの危険因子となるとの報告もあり、両症例月齢8ヶ月での手術であった。また、LVOTS予防としてRastelli手術時に漏斗筋切除によるVSD拡大があげられるが、出生時のVSD径は両症例で大く、症例2はVSD拡大を行わず、症例1も十分な拡大がされなかった可能性がある。術式選択や時期についてさらなる症例の集積が必要と考えた。