第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

複雑心奇形(外科)

ポスター発表(II-P01-5)
複雑心奇形(外科)1

2024年7月12日(金) 12:40 〜 13:40 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:木村 成卓(慶應義塾大学医学部 外科学(心臓血管))

[II-P01-5-08] 当院におけるファロー四徴症の治療戦略;段階的修復術から一期的修復術へ

大河 秀行1, 櫻井 一1,2, 野中 利通1, 櫻井 寛久1, 和田 侑星1, 石田 真一1, 加藤 葵1, 前野 元樹1, 大橋 直樹3,4, 西川 浩4, 吉田 修一郎4 (1.JCHO中京病院 心臓血管外科, 2.名古屋大学大学院医学研究科 心臓外科, 3.名古屋大学大学院医学研究科 小児科, 4.JCHO中京病院 小児循環器科)

キーワード:ファロー四徴症, 段階的修復, 一期的修復

【目的】体肺動脈短絡術は,非開心術でありながらリスクの高い術式であるとともに,肺血流の調節も難しい。当院では,2017年4月以降,乳児期早期に介入が必要になったファロー四徴症に対して,段階的修復(Staged repair)ではなく一期的修復(Primary repair)を第一選択としてきた。その治療方針の妥当性を後方視的に検討した。【対象と方法】2011年1月から2024年2月までの間に,当院で生後6ヶ月以内に初回の介入を要したファロー四徴症のうち,房室中隔欠損症や主要体肺動脈側副血行の合併を除外した連続57例を対象とした。2017年3月以前の前期群と2017年4月以降の後期群に分け,成績を比較検討した。【結果】前期群は27例,後期群は30例。初回介入時の日齢は前期群60.7 ± 42.5日,後期群114.3 ± 81.5日,体重は前期群4.61±1.62 kg,後期群5.64 ± 1.69 kgと,後期群の方が日齢,体重とも有意に大きいものの,前期群は一期的修復が1例(3.7%)のみである一方,後期群は22例(73.3%)で,統計学的に有意差をもって多かった。なお,後期群の段階的修復の8例のうち4例(50.0%)が経皮的右室流出路ステント留置術であった。両群とも死亡例は認めなかった。前期群の心内修復術の術式は,弁輪温存が11例,非温存が16例(transannular patch 8例,valved conduit 8例),後期群の心内修復術の術式は,弁輪温存が20例,非温存が10例(trans-annular patch 9例,valved conduit 1例)で,大半が一期的修復である後期群でも,有意差はないもののむしろ弁輪温存できたものが多い傾向で,かつ,右室流出路に対する再手術は後期群で少ない傾向にあった。【結語】乳児期早期に介入が必要になったファロー四徴症に対する一期的修復は,安全で,段階的修復に比べても同程度に弁輪温存可能であり,この治療戦略は妥当と考えられる。