[II-P01-6-01] 急性心外膜炎を発症した突発性発疹症の1歳女児
キーワード:acute pericarditis, human herpesvirus 6, exanthema subitum
背景:突発性発疹は多くの小児が乳児期に発症するhuman herpesvirus 6 (HHV-6) 感染により引き起こされる。良性の発熱疾患である。稀に心疾患を合併する事があるが、急性心外膜炎の合併の報告は今までにない。症例:症例は1歳女児。2か月時に心房頻拍を発症し、薬物治療により頻拍発作はコントロールされていた。4日間の発熱後に発疹が全身に出現した。解熱2日目の朝に突然の顔色不良と180bpmの頻脈が出現し、当院救急外来へ受診した。不機嫌などの胸痛を思わせる症状はなく、心膜摩擦音は聴取されなかった。12誘導心電図は120bpm程度の洞調律に短い心房頻拍が頻発していた。血液検査所見はCK 99 (MB 3) IU / L, トロポニンT 0.010ng/mL と正常であったがBNP 95.1pg/mLと上昇を認めた。心エコー検査で心機能は正常範囲であったが、最大6.6mmの心嚢水貯留を認めた。急性心外膜炎としてアスピリン(30mg/kg/day)内服を開始し、一旦は心嚢水が消失したが、2か月後に再燃した。再発時の心臓MRIでは心嚢水貯留は認めたが、心筋および心外膜のガドリニウム遅延造影は認めなかった。再発性心外膜炎としてプレドニゾロン(1mg/kg/day)を開始し、アスピリンをコルヒチン(0.01mg/kg/day)へ変更した。1か月で心嚢水は消失し、プレドニゾロンは減量中止した。その後の心エコー検査では心嚢水貯留はなく、拡張障害も認めていない。初発時の咽頭および血清PCRよりHHV-6が検出され、急性期および慢性期の血清学的検討ではそれぞれウイルス抗体価8倍、280倍以上であったため突発性発疹に合併した急性心外膜炎と診断した。結語:HHV-6感染により引き起こされる突発性発疹はウイルス性急性心外膜炎の原因となりうる。