The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster Session

心筋心膜疾患

Poster Session(II-P01-6)

Fri. Jul 12, 2024 12:40 PM - 1:40 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:藤原 優子(町田市民病院 小児科)

[II-P01-6-02] Lethal congenital hypertrophic cardiomyopathy caused by PRKAG2 mutation with refractory ascites and pericardial effusion

南谷 曜平, 岩本 洋一, 石戸 博隆, 増谷 聡 (埼玉医科大学総合医療センター小児科)

Keywords:PRKAG2, 肥大型心筋症, 腔水症

【背景】PRKAG2症候群はAMP-activated protein kinase活性の障害による心室早期興奮、上室不整脈および心肥大を特徴とするまれな遺伝性疾患で、一部では重篤な先天性肥大型心筋症(HCM)により致死的な転帰をたどるとされる。PRKAG2症候群に乳び腔水症の報告は見当たらず、我々の難治例を報告する。
【症例】心疾患の家族歴はなく、胎児期にHCMと胎児水腫および両側肺低形成が疑われた。在胎34週0日に自然経腟分娩で出生し、肺低形成による新生児遷延性肺高血圧症に対してサーファクタント投与、人工呼吸管理、一酸化窒素吸入療法を開始した。出生後の心臓超音波検査では心室中隔壁13.0 mm、左室後壁7.7 mmの非対称性心筋肥大と、左室流出路の加速(2.2 m/s)から閉塞性HCMと診断した。日齢1より腹腔ドレナージを要し、腹水の性状から乳び腹水と診断した。完全経静脈栄養でも50 mL/kg/日の腹水が持続したためプレドニゾロン、オクトレオチドを開始した。腹水は一時的に減少したため日齢21に腹腔ドレーンを抜去したが、プレドニゾロン中止後に腹水が再貯留し、心嚢水も次第に増悪し、日齢35に再留置した。以降も50―200 mL/kg/日の排液が持続し、連日の血液製剤投与を要した。日齢40に行ったリンパ管シンチで右鼠径部にリンパ管腫を疑う集積を認め、シロリムスを開始した。シロリムス開始後、心嚢水は減少したが、腹水・全身浮腫は持続した。日齢70よりの治療抵抗性感染症のため低酸素血症と血圧低下が持続し日齢77に永眠した。後日、網羅的ゲノム解析にてPRKAG2遺伝子に既知の病的変異が判明した。
【考察】閉塞性HCMのため徹底したdry sideの管理は困難で、腔水症は寛解を維持できず、管理に難渋した。免疫抑制薬は易感染性に寄与した可能性がある。PRKAG2症候群に対する根本的な治療法はなく症例集積と新規治療の開発が望まれる。