[II-P01-6-06] 心機能低下を認めたMIS-C関連心筋炎の3例
キーワード:COVID-19, MIS-C, 心筋炎
【背景】2020年4月以降に欧米を中心に、COVID-19感染後に川崎病に類似した症状を呈し、多臓器系にわたる強い炎症を起こす病態が報告され、「小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C)」と定義された。一方、川崎病と比較して年長児に多く、ショック症状や心機能障害を認めるケースが多いことが知られている。我々は心機能低下を伴い、MIS-Cと診断された3例を経験した。【症例1】11歳男児。約1ヶ月前にCOVID-19罹患を疑うエピソードがあった。今回、発熱、結膜充血、水様便、頚部リンパ節腫脹および心機能低下を認めたため入院となった。ショックを呈しており、一時的に集中治療管理を要したが、免疫グロブリンとステロイド投与により速やかに心機能は改善した。【症例2】11歳男児。約1ヶ月前にCOVID-19に罹患した。発熱、結膜充血、水様便および心機能低下を認めたため入院となった。同様にショックのため、集中治療管理を要したが、免疫グロブリン投与とステロイドパルスにより速やかに心機能は改善した。【症例3】5歳男児。約1ヶ月前にCOVID-19に罹患した。発熱、結膜充血などを認めたため川崎病を念頭に免疫グロリン投与が行われたが、発熱の再燃および心機能低下を認めたためMIS-Cと診断。ステロイド投与により速やかに心機能は改善した。【考察】過去の報告においてもMIS-C関連心筋炎は、発症後10日以内に94%の症例で心機能が正常化するとされており、古典的な心筋炎と比較して良好な予後が見込めると考えられる。一方、急性期には心機能低下からショックを呈するため、適切な診断と早期の介入がより重要であると考えられた。