[II-P02-1-01] The effect of junctional rhythm on Fontan circulation
Keywords:Fontan, 接合部調律, 心房ペーシング
【背景】 Fontan (F)循環の遠隔期に, 洞機能不全のため接合部調律 (JR)がみられる場合がある. 【目的】 JRのF循環への影響及び, 心房ペーシング (AP)による血行動態の変化を検討し, ペースメーカ適応について考察すること. 【方法】 2019-2023年にホルター心電図 (Ho)を施行した15歳以上F患者のうち安静時JRを呈した11人 (JR群)と, Excellent status 24人 (ES群)の2群で, Ho, 心肺運動負荷試験 (CPX)の心拍数 (HR)及び血行動態指標を検討した. ESは, ”重大な合併症による予定外入院既往かつ肝硬変なし”かつ”血行動態異常なし”とした. さらにカテーテル検査で, JRとAPで圧測定を施行した5人 (ペースメーカ植込み後1例)の中心静脈圧 (CVP)・および体心室収縮期圧 (SP)の変化を検討した. 【結果】 JR/ES群のHo HRは, 最小(min) (40.4±5.0 vs. 50.2±8.6 bpm, p=0.001), 平均 (mean) (69.8±9.8 vs. 80.1±7.6 bpm, p<0.01), 最大 (max) (129.2±25.0 vs. 139±18.5 bpm, p=ns)で, JR群でmin/meanが低く, maxに差はなかった. CPX HRに有意差なかった. 血行動態指標では, JR群でlog HANPが高かったが (1.64±0.30 vs. 1.38±0.29 pg/ml, p=0.02), log BNP/心胸郭比/CPX最大酸素消費量に差はなかった. カテーテル検査では, CVPが高かった (13.1±2.0 vs. 10.6±2.3 mmHg, p<0.01)が, 心拍出量/BPに差はなかった. APでの評価は, JR rate+10 bpmでSP 8.8±4.4 mmHg (p=0.01), JR rate+20 bpmでCVP -1.8±0.8 mmHg (p<0.01)の変化を認めた. 【考察】 JR群のlog HANP/CVP上昇は, 房室同期不全による心房負荷を反映し, その他の指標に差がなかったのは, 活動時HR上昇によるものと推測する. APにより血行動態の改善が期待できる.【結論】 安静時JRを呈しても, 活動時HRが上昇する症例は, 血行動態への影響が少ないと予想される. JRで, HR上昇がない場合や血行動態が懸念されるF循環には積極的なAPが望まれる.