[II-P02-1-03] A case of cardiomyopathy induced by incessant fascicular ventricular tachycardia that was difficult to differentiate from acute myocarditis.
Keywords:ベラパミル感受性心室頻拍, 頻拍誘発性心筋症, トロポニン
【背景】ベラパミル感受性心室頻拍は小児の特発性心室頻拍の中で比較的頻度の高い疾患である。一般的に予後良好とされているが、長時間持続した際には頻拍誘発性心筋症を呈することがある。【症例】生来健康な14歳男子。数日前より咳嗽、喘鳴あり、夜間入眠困難のため前医へ紹介となった。脈拍190回/分およびCK 900U/Lと上昇しており、急性心筋炎が疑われ当院へ搬送となった。来院時の心電図では房室解離を伴う左軸偏位・右脚ブロックパターンのwide QRS tachycardiaを呈し、ベラパミルを投与したが停止せず、Cardioversion100Jで洞調律に復帰した。LVEF25%と低下し、トロポニンT 0.032ng/mLと弱陽性で、急性心筋炎も鑑別にあがったが、心臓MRI検査では心筋炎を示唆する所見はなかった。頻拍停止後、利尿剤含めた抗心不全治療で速やかに心機能は改善し、頻拍誘発性心筋症と診断した。後日EPSを行い、心室連続刺激および期外刺激で容易に心室頻拍が誘発され、エントレイメント現象陽性だった。左脚Purkinje電位部位をターゲットに焼灼し、以降再発なく経過している。【考察】トロポニンT 0.05ng/mL以上で心筋炎の診断感度83%、特異度80%と報告されている。また、心臓MRI検査は心筋炎診断に有用とされ、小児心筋炎において、T2強調像での高信号を74%、LGE陽性を81%で認めると報告されている。後日、本人から話を聞くと、発症2か月前から突然の動悸を自覚しており、頻拍が長時間持続していた可能性が考えられた。【結語】最終的に頻拍誘発性心筋症と診断したが、心筋炎との鑑別を要し、カテコラミンが頻拍を誘発しうる病態のため治療方針に苦慮した一例であった。トロポニン値や心臓MRI所見、臨床経過が診断の一助となった。