The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Poster Session

集中治療・周術期管理

Poster Session(II-P02-1)

Fri. Jul 12, 2024 4:15 PM - 5:15 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:熊本 崇(佐賀大学医学部附属病院 小児科)

[II-P02-1-06] A case of LQT1 with KCNQ1 R231H mutation with a family history of atrial fibrillation

永田 佳敬, 長井 典子 (岡崎市民病院 小児科)

Keywords:KCNQ1 R231H, LQT1, Atrial fibrillation

【背景】GWAS(Genome Wide Association Study)の展開によって遺伝性不整脈の病態解明が進む中で、同一の遺伝子変異が異なる表現型を示すことはしばしば経験される。今回LQT1の病的変異であるKCNQ1 R231H変異を持つ患者で、濃厚なAf(Atrial fibrillation)の家族歴が明らかになった症例を経験したので報告する。【症例】15歳女性。家族歴には、兄は学校検診でQT延長の精査歴あり、母の従妹は若年突然死した。在胎36週に胎児徐脈で当院に紹介され、38週4日、2714gで出生後HR100bpm程度の徐脈だが、UCGで形態異常なく状態は安定していた。ECGでU波と軽度QT延長はあるも、1か月時はQTc(F)0.42secであり終診となった。小学校4年生検診でQT延長を指摘され、他院で経過観察の後、15歳時に精査目的に当院再紹介となった。起立性調節障害様の失神歴はあったが、運動時の失神はなかった。安静時はHR45bpm、QTc(F)0.43secだったが、T-masterの負荷後3分はQTc(F)0.57secであった。遺伝子検査ではKCNQ1c.692G>A(R231H)変異(Pathogenic)があり、LQT1の診断でβblocker内服を継続してきた。19歳時に母がAfでカテーテル治療を行った際に、改めて家族歴を聴取したところ叔父(母の弟)もAfで、母方祖父はAfによる脳梗塞で死亡し、母の別の従妹とその長男にもAfがあることが判明した。現在本児のAf発症にも注意して経過観察中であると共に、他院では再度両親を含めた遺伝子検査の解析中である。【考察・結語】近年KCNQ1 R231H変異はLQT1のみでなく、若年発症の家族性Afにおける高度な病原性アレル変異とする複数の報告が見られる。過去に当院で報告した、同様の遺伝子変異を持つ他の胎児徐脈の2例では、必ずしもAfの家族歴は多くない。しかし本症例のように遺伝子の機能や変異、表現型が解明されるにつれ、新たな診断や的確なリスク管理が可能になる症例がある。遺伝子診断に基づく不整脈疾患群のさらなる病態解明が進むことが望まれる。