[II-P02-1-08] A treadmill exercise stress test is useful for diagnosing long QT syndrome in the school-based routine screening program.
Keywords:QT延長症候群, 学校心臓検診, トレッドミル運動負荷試験
【背景】QT延長症候群 (LQTS) は小児期突然死の原因となり得る遺伝性不整脈疾患であり、心イベントの予防が重要である。学校心臓検診は世界でも類を見ないスクリーニング検査であるが、これを契機としたLQTS診断精度には課題がある。【目的】 新潟市の学校心臓検診においてLQTS抽出の実態を把握し、診断精度を上げる方法を検討する。【方法】2023年度の新潟市学校心臓検診において、以下の手順でQT延長精査を行った。1) 調査票および心電図自動診断による抽出、2) 接線法により計測しFridericia補正したQT時間 (QTcF) で、小学1年430ms以上、中学1年440ms以上。2次精査では、全例で3分間仰臥位の後に安静時を記録し、トレッドミル運動負荷試験 (TMT) を実施した。Bazett法によるQTc (QTcB) が、安静で460ms以上、回復期4分で480ms以上の症例について、遺伝学的検査を実施した。最終的に、2013年のHRS/EHRS/APHRS Expert Consensus Statementに従いLQTSと診断した。【結果】対象は小学1年:5824人、中学1年:6271人であった。1次検診で20人を抽出し、そのうち19人 (小学1年:5人、中学1年:14人) が新潟大学を受診、そのうち1人は既に定期受診中のLQT1症例であった。2次精査での安静時QTc Fは426±20msで、11例が抽出基準未満に短縮した。QTcBは437±24msで、4例で460ms以上であった。TMTでの回復期4分のQTcBは460±26msで、5例で480ms以上であった。LQTSが強く疑われる7例について、遺伝学的検査を実施したところ、定期受診していたLQT1症例を含め、LQT1:5例、LQT2:1例が確定できた。安静時QTcB 460ms未満で回復期に480ms以上を呈した3例のうち2例がLQT1であった。全例無症状であったが、LQT1の2例でナドロール内服を開始した。【結論】TMTは、LQTSの2次精査に有用と考えられた。特に安静時QTcBが460ms未満であるにも関わらず、運動負荷によりQT延長が顕在化するLQT1症例では診断精度が改善すると考えられた。