[II-P02-4-03] Successful ablation of ventricular tachycardia arising from aortic coronary cusp in post-operative Fontan patient with Fontan-associated liver disease
Keywords:心室頻拍, Fontan関連肝疾患, カテーテルアブレーション
症例は上下心,両大血管右室起始,右室低形成,大動脈縮窄,大動脈弓形成およびDKS術後,心外導管型フォンタン術後の17歳女性.13歳から1日の総心拍の約40%の心室頻拍を含む心室性不整脈(VA)を認め,カルベジロールとベラパミルの内服が行われた.遠隔地在住かつcovid-19流行のため当院外来受診が途絶えていたが,不整脈管理に難渋したため地元医師からカテーテルアブレーション(CA)目的に再紹介された.入院時の造影CTでは肝内びまん性に多数の腫瘤を認め,Fontan関連肝疾患(FALD)と診断された.VAの安静時12誘導心電図所見はQRS時間168ms,下方軸,右脚ブロックパターン,移行帯V3以前で,正常心の心電図によるVA起源鑑別方法では,R-wave duration index>0.5(大動脈冠尖疑い), R/S amplitude index>0.3(大動脈冠尖疑い), V6 s波>0.1mV(上部基部中隔起源),Maximum deflection index<0.55(心内膜起源疑い)と大動脈冠尖起源に一致する所見と一致しない所見を共に有していた.加えて,I誘導のR/S amplitude≒1.0,aVR誘導 QS pattern,V1誘導 qRなどの心電図所見と造影CTを見比べ,大動脈冠尖または漏斗部中隔の右側方向と推測し,経大動脈アプローチでの焼灼を第一選択とした.心臓カテーテル検査では中心静脈圧9mmHg,中等度大動脈閉鎖不全を認めた. CAでは,大動脈左右冠尖交連部のVA時の局所電位は体表面QRSに対して36ms先行し,同部位でgood pace mappingが得られ,大動脈造影で冠動脈入口部から十分離れていることを確認し同部位で通電を行なったところVAは消失した.アブレーションの手技時間は18分であった.本症例では正常心における様々な診断基準を適用しつつ,造影CTを下に特殊な心臓構造と心電図所見を重ね合わせVAの起源を推定し,大動脈冠尖からの焼灼で短時間かつ低侵襲に治療しえた.本例は電気生理学,FALDを含むFontan術後遠隔期管理のそれぞれの視点において示唆に富む症例であったため報告する.