第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター発表(II-P02-4)
術後遠隔期・合併症・発達3

2024年7月12日(金) 16:15 〜 17:05 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:金子 幸裕(国立成育医療研究センター 心臓血管外科)

[II-P02-4-04] 完全大血管転位症大動脈スイッチ術後における冠動脈狭窄病変のフォロー状況

佐藤 浩之, 田中 登, 赤塚 祐介, 佐藤 恵也, 加護 祐久, 山崎 真友美, 原田 真菜, 松井 こと子, 福永 英生, 高橋 健, 稀代 雅彦 (順天堂大学 小児科)

キーワード:完全大血管転位症, 冠動脈狭窄, 大動脈スイッチ術

【背景】冠動脈狭窄は完全大血管転位症(TGA)に対する大動脈スイッチ術(ASO)遠隔期合併症の一つであるが、術後の冠動脈についてフォロー方法は確立していない。【目的】ASO術後冠動脈狭窄症例について検討し、その評価方法を見直すこと。【対象と方法】2005年1月から2023年12月の期間に、ASO術後に当院で血管造影を施行した32名(年齢3歳3か月-26歳0か月:中央値8歳0か月)、検査施行時期、検査内容、冠動脈狭窄の有無など、当院でのフォロー状況について後方視的に検討した。【結果】全例でLecompte法によるASOを施行された。3/32例(9%)で冠動脈狭窄を認め、いずれも完全閉塞(RCA主幹部1例、LMT2例)であった。全例でASO術後1年に血管造影を実施し、その後は小学校・中学校就学期前後に追加実施された。学童以上の半数で術後1年以降の血管造影は未施行であった。19/32例(59%)で選択的冠動脈造影(CAG)が施行されたが、その他の症例は上行大動脈造影のみ施行された。Shaher分類は1型 26例(81%)、2型 3例(12%)、3型 2例、4型 1例。冠動脈閉塞をきたした3例はいずれもShaher分類1型であり、健側冠動脈から十分な側副血管を認めた。RCA主幹部閉塞例は術後1年で狭窄を認め、6歳時に閉塞と診断されたが、無症状かつ薬剤負荷心筋シンチ陰性のため経過観察中である。LMT閉塞例は2例とも術後1年で診断され、1例は12歳時に当院紹介となり、薬剤負荷心筋シンチ陽性のため冠動脈バイパスグラフト術を行った。もう1例は術後1年以降の血管造影は行われていないが、現在20歳、無症状で経過している。【考察】当院におけるASO術後の血管造影は全例で術後1年、半数は以降約5年間隔で行われた。CAGを行っていない症例の中には造影が不十分な症例も存在した。TGA術後の冠動脈病変は、比較的早期に無症状で進行する可能性があるため、早期診断が重要である。また、術後遠隔期の評価の統一化が必要と思われた。