The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster Session

術後遠隔期・合併症・発達

Poster Session(II-P02-4)

Fri. Jul 12, 2024 4:15 PM - 5:05 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:金子 幸裕(国立成育医療研究センター 心臓血管外科)

[II-P02-4-05] Efficacy of Short Term Dexamethasone Therapy for Protein-losing Enteropathy after Fontan Operation

吉野 佳佑, 北野 正尚, 西岡 真樹子, 島袋 篤哉, 佐藤 誠一 (沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)

Keywords:Fontan術後症候群, 蛋白漏出胃腸症, ステロイド

【背景】Fontan術後に合併する蛋白漏出性胃腸症(以下、PLE)は中心静脈圧の上昇によるリンパ流のうっ滞と腸管の炎症が原因とされている。抗炎症治療に用いられるステロイドにはプレドニゾロン、ブデソニドの報告があるが、長期依存となる問題がある。当院のPLE2症例においてヘパリン皮下注射に短期間(6週間)のデキサメタゾン併用療法を試みた。同様の報告はなく、その転帰を報告する。【症例1】12歳、男児。無脾症、不均衡型房室中隔欠損症の診断で2歳時に開窓型Fontan手術を施行した。6歳時に消化管出血にPLEを併発した。オクトレオチド、ヘパリン皮下注射、プレドニゾロン内服では改善せず。きゅう帰膠艾湯の内服で消化管出血が治まり、PLEも改善した。12歳時に再度消化管出血にPLEを併発した。ヘパリン静注で血清アルブミン値は上昇し、皮下注射に変更した。房室弁置換術後にPLEが増悪した。経皮的fenestration作成では改善せず、デキサメタゾンの内服を6mg/dayから開始し、6週間で漸減し、終了した。PLEは改善し、ヘパリン皮下注射で維持されている。【症例2】36歳、男性。両側房室弁右室挿入、肺動脈閉鎖の診断で12歳時にAPC法Fontan手術を施行した。36歳時に浮腫を契機にPLEと診断された。ヘパリン静注で血清アルブミンは2.0から2.8g/dLまで上昇した。ヘパリン皮下注射に変更後、デキサメタゾン6mg/dayの内服を併用し、血清アルブミンは3.8g/dLまで上昇し、浮腫は消失した。【考察】手術などのストレスを契機にPLEが増悪した際に、デキサメタゾンの短期間使用はPLEを軽減し、以後ヘパリンのみで維持される可能性がある。デキサメタゾンはプレドニゾロンの約7倍の糖質コルチコイド作用があり、長期間作用型であることから、短期間使用の効果が高い可能性がある。また鉱質コルチコイド作用はなく、塩分蓄積の問題はない。【結論】デキサメタゾン短期使用法はFontan術後のPLEに有効である可能性がある。