[II-P02-4-07] Study for necrotizing enterocolitis caused by congenital heart disease
Keywords:先天性心疾患, 壊死性腸炎, 血便
【緒言】早産・低出生体重児に限らず、正期産児が先天性心疾患を合併した場合も壊死性腸炎(NEC)をきたすことがあり、その病態把握は重要である。今回我々は、先天性心疾患に起因してNECを発症した自験例について詳細を検討した。【方法】2011年以降に当院で開腹手術を要したNEC 14例を対象とし、患者背景やNEC発症時期、予後を検討した。【結果】14例のうち7例は動脈管開存症(PDA)以外に構造異常を持たず (N群)、残る7例は何らかの心血管構造異常を有した(C群)。男女比はN群で男6女1、C群で男1女6。在胎週数はN群23-27週(中央値25週)、C群25-40週(中央値37週)で、出生体重はN群480-1004g(中央値812g)、C群766-2885g(中央値2300g)。NEC発症時期はN群が日齢2-46(中央値9)、C群は日齢12-125(中央値29)で、N群では全例で腹部膨満・色調不良を契機に診断されて血便はなかった一方、C群では7例中5例に肉眼的血便がみられ、病変部位もN群は全例が回腸、C群は4例が結腸という特徴があった。その他、発症前のバイタルサインや血液検査所見等を比較検討している。予後については各群とも1例を除く6例で生存退院が得られており、特にC群では各心疾患としての最終手術まで到達している。【考察】NECの約90%は低出生体重児に起こるが、残る10%の正期産児において先天性心疾患は注意すべきリスクファクターである。初発症状もC群は血便が多く、血便のなかったN群とは対照的であった。またC群では心疾患術後3か月時に血便を契機にして開腹手術を実施した症例があり、術後遠隔期であってもNECを鑑別に治療方針を検討する必要があると考えられた。【結語】先天性心疾患児の周術期および術後遠隔期に血便や腹部膨満などの症状が出現した場合、NECを鑑別に早期診断・加療を行うことが望ましい。