The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster Session

心筋心膜疾患

Poster Session(II-P02-6)

Fri. Jul 12, 2024 4:15 PM - 5:15 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:星野 健司(埼玉県立小児医療センター 循環器科)

[II-P02-6-09] A case of fulminant myocarditis in which diffuse pericardial damage caused prolonged pulseless electrical activity

土田 裕子, 永峯 宏樹, 前田 潤, 山口 修平, 西木 拓己, 吉田 真由子, 妹尾 祥平, 山田 浩之, 小山 裕太郎, 大木 寛生, 三浦 大 (東京都立小児総合医療センター)

Keywords:劇症型心筋炎, 心筋生検, 無脈性電気活動

【症例】特に既往のない14歳女児。入院前日に発熱、頭痛、胸痛を主訴に前医を受診し、徐脈、低血圧、心筋逸脱酵素の上昇を認め急性心筋炎の診断で当院へ搬送された。来院時、心収縮は維持されていたが、数時間で、心収縮低下、心室頻拍を呈し、心原性ショックのためVA-ECMOを導入した。翌日からQRS波形が消失し、P波のみとなった。入院4日目に心室内血栓が疑われ、開胸し、左室ベントおよび右房右室にペーシングリードを留置した。その際の右心耳心筋生検で心筋萎縮、融解、空胞変性、間質のリンパ球浸潤を認め、リンパ球性心筋炎と確定診断した。心室ペーシングを行っても心収縮はなく、無脈性電気活動の状態が持続した。Stenotrophomonas maltophilia菌血症、多発脳梗塞、肺梗塞を合併し、ECMO継続を断念し、入院18日目に永眠。病理解剖で両心室筋の全周および全層におよぶ心筋脱落、壊死、マクロファージとCD3陽性Tリンパ球の浸潤を認めた。両心房筋にも同様の所見を認めたが、心筋脱落は心室の方が顕著であった。線維化組織の置換は認めなかった。
【考察】急速に心電図変化が進行し、19日間QRS波形の出現をほぼ認めず、ペーシングに無反応であり、心収縮の回復に至らなかった。本邦の成人劇症型心筋炎の調査では、発症時の心室頻拍や洞調律消失、心筋組織における広範な心筋細胞障害と、3か月以内の死亡率、心臓移植率の相関が報告されている。本症例において、発症時の不整脈、心筋全層におよぶ高度な炎症を認め、残存心室筋が少なく、心筋の電気的活動の回復が困難であったことが示唆された。
【結論】劇症型心筋炎における心筋組織像は予後に大きく関連し、広範な心筋壊死を呈する症例では、早期の集学的治療に対する反応が不良である可能性がある。