[II-P03-1-03] Oval patch型除細動用リードによる開胸的ICD植込み症例の検討
キーワード:致死性不整脈, ICD植込み, Oval patch型除細動用リード
【背景】致死性心室性不整脈に対する植込み型除細動装置(ICD)治療は、極めて有効な治療法である。しかし体格の小さい小児では、経静脈リードまたは皮下リード(S-ICD)を用いた植込みが困難な場合がある。小児例に開胸下にOval patch型除細動用リードを用いてICD植込みを行っており、自験例3例について報告する。【方法】胸骨正中切開下に、右心室に心外膜リードと左胸腔内でOval patch型除細動用リードを縦隔側胸膜に縫着した。本来、Oval patch型除細動用リードは心外膜に直接縫着するタイプのものであるが、遠隔期の収縮性心膜炎発症を予防する目的で縦隔側胸膜に縫着した。【症例1】QT延長症候群で、生後4ヶ月5.8kg時に植え込みを行った。2歳と、15歳時に適切に作動し除細動に成功したる。現在22歳で、リード不全はない。【症例2】特発性心室細動で、1歳9.5kg時に植え込みを行った。植え込み3週間後に適切に作動し除細動に成功した。3歳、4歳時にリード断線による不適切作動があったため、6歳時にデバイスの交換を行った。心嚢内及び胸腔内のパッチリードの癒着は軽微で、交換は容易であった。現在7歳で、その後不適切作動はない。【症例3】カテコラミン誘発性誘発性心室頻拍(CPVT)で、3歳6ヶ月14.7kg時に植え込みを行った。現在、8歳でリード不全や不適切作動はない。植え込み2年後に左緊張性気胸を発症し、胸腔鏡下に肺瘻閉鎖術を行った。肺瘻はパッチリードとの摩擦が原因と判断した。【まとめ】体格の小さい小児例に対する開胸下にOval patch型除細動用リードを縦隔側胸膜に縫着するICD植え込みは、遠隔期においても有効な除細動法と考えられた。3例ともに収縮性心膜炎の発症はなかったものの、胸腔内に留置したパッチリードが誘因となった気胸を経験しており今後も注意深い経過観察が必要と考えられた。