[II-P03-2-04] ECMO導入後に診断した共通肺静脈閉鎖の1例
キーワード:総肺静脈還流異常症, 共通肺静脈閉鎖, ECMO
総肺静脈還流異常症(TAPVC)のなかでもcommon pulmonary vein atresia (CPVA)は重篤な症状を呈し迅速な診断治療が必要な疾患である。【症例】在胎40週2日、Apgar score 7-7-7で出生した3764gの男児。出生直後より筋緊張低下、羊水混濁を認めた。呻吟、低酸素血症を認め、気管内挿管、サーファクタント(S-TA)投与を行い当院NICUに転院となった。胸部レントゲンで両側気胸およびスリガラス陰影を認めた。持続胸腔ドレナージを開始し再度S-TA投与を行ったが気管内吸引物は血性であった。TAPVCを念頭にUCGを施行したが気胸もありTAPVCと判断できず、初期診断として遷延性肺高血圧症、出血性肺浮腫、緊張性気胸、新生児仮死とした。NO吸入療法等を追加したが明らかな改善はなく、PICUに転棟しECMOを導入した。エコーでもTAPVCが否定できず、その後の造影CTの結果CPVAを疑い、日齢2にTAPVC修復術を施行した。術中所見ではcommon PV chamberは細く、可視範囲に明らかな垂直静脈は確認できずCPVAと判断した。ECMO管理を継続し、日齢8にECMO離脱したがPHの再増悪で半日後にECMO再導入を行い、日齢14に再度ECMO離脱したが肺出血等を認め循環が維持できず同日死亡した。病理解剖では共通肺静脈と無名静脈の間に垂直静脈を認めた。この垂直静脈の両端は静脈壁構造の管腔であったが、血管の中央部は静脈壁構造が消失し器質化血栓で閉塞し盲端となった線維性索状物であった。また両側肺の高度な出血、うっ血水腫、リンパ管拡張を認めた。【まとめ】CPVAと新生児の重篤なチアノーゼの原因となる内科的疾患との鑑別は条件により困難な場合がある。通常の治療に反応しない場合はCPVAを鑑別に他部門と情報共有し早期にECMOを含めた治療選択を行う必要がある。