[II-P03-2-08] 高度房室ブロックをきたした急性心筋炎での一時的ペーシングの終了時期の検討
キーワード:急性心筋炎, 一時的ペーシング, 房室ブロック
【背景】様々な不整脈を呈する急性心筋炎(AM)では高度房室ブロック(AVB)により一時的ペーシング(TP)が必要となりその手技は確立している。一方で長期間のTP留置は合併症を引き起こすリスクがあり治療のタイミングを含めた管理では不明な部分がある。【目的】TPの適切な抜去時期を推測する。【方法】2012年より当院でAMと診断された連続症例のうち2度以上のAVBのためTPを必要とした症例を対象とする。患者背景、AMの原因、TP使用期間と抜去時期、転帰と合併症を後方視的に評価する。【結果】急性心筋炎20例中、2度AVB以上の高度房室ブロックを呈した5例にTPを必要とした。年齢中央値9歳(3歳10か月ー13歳6か月)、男児1例、特発性1例、ウィルス性3例、MIS-C1例であった。1例は大動脈縮窄症術後であった。4例は入院時よりAVBを認め、1例は入院2日目よりAVBを認めた。TP治療期間は1-4日間で、TP留置期間は3-5日間であった。全例でdislogementや合併症を認めなかった。1例で恒久的ペースメーカー植え込みとなり1例が入院中に死亡した。残り3例ではTP終了後24-48時間の観察期間を経てTP抜去を行ったがその後のAVBの再燃はなかった。【考察】自己房室伝導復帰例では4日以内の回復がみられ、TP終了後48時間を超えてAVB再燃した症例はいなかった。早期に房室伝導回復を認める例ではさらなる観察期間の短縮が可能かもしれない。LimitationとしてAMの原因や患者背景が異なること、症例数の乏しさが挙げられる。【結論】AMによるAVB症例でのTP留置は房室伝導回復後48時間以内の終了は妥当であり、更に短縮できるかもしれない。