[II-P03-3-02] 診断に苦慮した学童期川崎病の2症例
キーワード:川崎病, 冠動脈瘤, 学童期
【背景】10歳以上の川崎病はまれではあるが、3割以上が不全型、1割の患者に冠動脈異常を認めたという報告がある。【目的】症状が現れにくく、重症化しやすい学童期川崎病においてより早期の診断を可能とするために、症例や文献から臨床的な特徴を検証する。【症例1】13歳男児、発熱・腹痛・水様便が継続し、腸炎として治療されていた。第6病日より前腕に紅斑が出現し、第7病日より眼球結膜充血が出現した。その後も発熱は継続したが、川崎病主要症状は増えなかった。第10病日までは心臓超音波検査で異常を認めなかったが、第11病日に左室駆出率が低下し、心嚢液貯留が出現した。増悪する可能性を考慮して、高次医療機関に転院とした。転院先で免疫グロブリン療法、シクロスポリン、プレドニゾロンで治療が行われたが、左前下行枝に巨大冠動脈瘤を形成する転帰となった。【症例2】12歳男児、発熱・嘔吐・下痢があり、胃腸炎として加療されていた。第7病日に両側眼球充血が出現した。第8病日に両側頸部リンパ節の腫脹・圧痛が出現した。第11日病日に口唇・舌の発赤が出現し、不全型川崎病と診断し、同日から免疫グロブリン療法を開始した。第12病日に平熱となったが、血液検査でクレアチニンが3.94mg/dLまで上昇し、高次医療機関へ転院とした。転院先では腎性腎障害を疑われたが、尿量保たれていた。微熱が継続し、第16病日に再度免疫グロブリン投与が行われ、以降は解熱し、冠動脈病変なく、第23病日に退院となった。【考察】不全型川崎病の早期介入のためのプロトコールは報告されているが、症例によっては有用性が低いことがある。学童期川崎病では不全型が多く、重症化するリスクが高いことを念頭にこまめに評価を行い、適切な時期に治療を行うことが重要である。