[II-P03-3-09] Clinical characteristics of incomplete double aortic arch with atresia of the distal left arch.
Keywords:血管輪, 重複大動脈弓, 治療介入時期
【背景】左側大動脈弓閉鎖を伴う不完全型重複大動脈弓(iDAA)は稀な血管輪で、早期に圧迫症状を来す可能性があり、その臨床像の把握は重要である。また、近年、iDAAを含めた血管輪が胎児期に診断されるようになり、症状出現前からフォローされる例が増えているが、その詳細は十分に知られていない。【目的】新生児期よりフォローされているiDAAの臨床像を明らかにする。【方法】2014年2月から2024年2月までに当院で新生児期よりフォローしているiDAA7例を対象に後方視的に調査した。【結果】胎児診断症例は6例 であり、胎児期診断は右側大動脈弓2例、血管輪3例 、大動脈縮窄1例 であった。7例のうち、気道症状を呈したのは4例 で、症状出現時期の平均は生後8ヶ月であった。造影CT検査はすべての症例で実施しており、iDAAに特徴的な所見とされている左鎖骨下動脈の下行大動脈方向への牽引は4例で確認された。下行大動脈の憩室は全例で認めた。気管支鏡検査は3例で施行しており、いずれも気管支の圧排所見を認めた。 血管輪解除術は4例で施行されており、全例術前に気道症状を合併していた。手術症例全例で下行大動脈から肺動脈と左鎖骨下動脈へとつながる2本の管索を認めた。術後症例は全例無症状で経過(フォロー期間平均2年)、他の3例もフォロー中症状なく、1例転院(3才)、フォロー脱落1例(10才)、精査前1例(0才)であった。【考察】iDAAの診断は鏡面像の頚部分枝を伴う右側大動脈弓との鑑別が必要であるが、iDAAでも従来の報告と異なる造影CT所見を認める場合もあり造影CT検査での鑑別は困難であることが分かった。血管輪の観点から、下行大動脈の憩室の存在は重要な所見の一つである。気道症状や気道狭窄を合併する例が多く、早期介入を念頭に置いた注意深いフォローが必要である。