[II-P03-4-04] Bidirectional Glenn Procedure Using Main Pulmonary Artery
Keywords:機能的単心室, 両方向性グレン手術, フォンタン手術
【背景】両方向性Glenn手術は機能的単心室症に対する段階的外科治療の一つである.一般的には,主肺動脈を離断して閉鎖し,SVCを右肺動脈に吻合するが,当院では,SVCの長さが十分に取れない場合,離断した主肺動脈をSVCとのGlenn吻合に用いている. 【方法及び結果】症例1. 1歳男児,体重8.2kg,診断はasplenia,機能的単心室症(DORV,TGA),肺動脈弁狭窄,肺動脈弁下狭窄,TAPVR(mixed, IIb+Ib),単冠動脈.41週0日,3360gで出生.肺動脈弁狭窄があり,出生後SpO2は85%前後で推移していた.月齢6にGlenn手術を予定していたが,イレウスを発症したため延期.消化器症状が改善後,1歳時に両方向性Glenn手術を施行.右上肺静脈がSVCに還流しており,その上縁でSVCを離断し心房側は縫合閉鎖.主肺動脈を離断し,主肺動脈上縁をSVC下面に挿入するように縫着した.術後1年の心臓カテーテル検査では,吻合部狭窄なし.平均肺動脈圧は右10mmHg,左11mmHgで左右差はほとんどなかった.2歳5か月でFontan手術を施行し経過観察中である.症例2. 1歳女児,体重8.3kg,診断はasplenia,機能的単心室症(DORV,TGA),TAPVR(mixed, IIb+Ib),bilateral SVC,肺動脈弁狭窄,右肺動脈狭窄,食道裂孔ヘルニア.38週5日,2862gで出生.肺動脈弁狭窄があり,出生後SpO2は80%台後半で推移していた.食道裂孔ヘルニアに対する治療を先行する方針とし,月齢8に噴門形成術,胃婁造設術を施行.1歳時に両側両方向性Glenn手術を施行した.左上肺静脈がLSVCに還流しており,その上縁でLSVCを離断.主肺動脈を離断し,LSVCと吻合.右肺動脈狭窄部位を切開し,RSVCを縫着した.現在Fontan手術待機中である.【結論】主肺動脈を用いることで,SVCが短い場合でも自己組織のみでGlenn吻合が可能となり,SVCの長さが十分でない症例に対する術式の選択肢の一つとなり得ると考えられた.今後,血流解析を含めたさらなる検討をしていきたいと考える.