第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

複雑心奇形(外科)

ポスター発表(II-P03-4)
複雑心奇形(外科)2

2024年7月12日(金) 17:20 〜 18:20 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:岩田 祐輔(岐阜県総合医療センター 小児心臓外科)

[II-P03-4-08] 体心室流出路狭窄を伴う単心室症におけるDKS吻合の半月弁機能と心機能の経過

細田 隆介, 中野 俊秀, 藤田 智, 原田 雄章, 永瀬 崇, 岡本 光司 (福岡市立こども病院)

キーワード:単心室症, DKS吻合, 体心室流出路狭窄

【背景・目的】DKS吻合は体心室流出路狭窄(SVOTO)を伴う機能的単心室症例に行う手術法の一つである。DKS吻合の半月弁、心機能に与える影響を明らかにするため、当院でDKS吻合が行われたFontan trackの89例を対象として、治療成績を明らかにすることを目的とした。【対象】当院でDKS吻合を行った単心室の31例が対象。診断は、DORV12例、SV8例、TA5例、AVSD4例、dTGA2例。優位心室はLV16例、RV15例、Arch obstructionが20例(65%)認められた。30例でPABを先行し、1例mBT shuntとPABを行った。DKSは、BDG時に29例(93%)、shunt時に1例、TCPC時に1例であった。手術時中央年齢は12ヵ月(3か月-4歳)、手術時中央体重は7.6kg(4.1-12.3)。大動脈と肺動脈の位置関係がparallelが20例(63%)、spiralが11例(37%)であった。【結果】重症心不全を2例認めたが、1例は術前にVSD狭小化から心不全増悪を認めた症例、1例はCAVVRコントロールに難渋した症例であった。それ以外の29例の心機能は保たれており、直近の平均SVEFは57%(44.8-75.4)であった。流出路の平均圧格差はDKS前が10.2(4-40)mmHgからDKS後が1.5(0-7)mmHgと改善を認め、直近の心エコーによる平均圧格差は1m/s(0.5-2.1)であった。PRは術後にmoderateに増悪した症例を1例、mildを2例認めたが、いずれも改善を認め、最終的には全ての症例がmild以下で経過した。Moderateの症例はgraft interposeを必要とした症例で術後早期に逆流の改善が認められたが、mildの症例はparallelをEnd to sideで吻合が行われていた。早期死亡は上記のVSD狭小化に伴う重症心不全を呈した1例のみで、遠隔期死亡を1例(壊死性腸炎)認めたがDKS吻合に関連は認められなかった。【考察】当院におけるDKS吻合の成績は良好でSVOTOの解除は有効にされていた。DKS吻合は適切なタイミング、方法で行うことで、有効な心機能を維持しつつSVOTOを解除することができる。