[II-P03-4-09] A case of right isomerism with biventricular repair in early infancy for liver transplantation.
Keywords:内臓錯位症候群, 二心室修復術, 生体肝移植
【背景】低酸素血症に対する肝移植は周術期死亡率や重篤な細菌感染合併のリスクが高く、右左短絡を有する先天性心疾患を合併する場合は、心内修復術後に肝移植を行うことが望ましいとされる。また、内臓錯位症候群では複雑心奇形と胆道閉鎖症が合併する事があるが、肝不全が進行した場合、フォンタン循環を避けて二心室修復を目指す治療戦略が必要になる。今回胆道閉鎖症による肝不全が進行し、乳児期早期に二心室修復術を行い肝移植に到達した右側相同の1例を経験したので報告する。
【症例】5か月女児。右側相同、両大血管右室起始症、完全房室中隔欠損症、肺動脈狭窄、総肺静脈還流異常症、下大静脈欠損、左上大静脈遺残と診断した。肺静脈共通腔は右側心房に、肝静脈は左側心房に還流していた。動脈管維持目的にPGE1製剤を持続投与し、待機的にBTシャント手術の方針としていた。経時的に肝胆道系酵素が上昇、胆道シンチグラフィーから胆道閉鎖症と診断、日齢55葛西手術施行、その後も肝不全が進行したため肝移植の方針とした。無脾症候群に伴う複雑な心内形態であったが、Fontan循環は困難と判断し、月齢5体重4kgで二心室修復術を施行した。心内修復術後のカテーテル検査では肺動脈平均圧26mmHg、肺血管抵抗6.35U・m2と肺高血圧症を認めシルデナフィルを開始した。なお、肝移植が忌避されるほどの肺高血圧症ではないと判断した。月齢7で腹水と凝固異常が進行し、月齢8に母からの生体肝移植を行った。
【結果・考察】心内修復術後にうっ血の影響と考えられる肝不全の進行を認めたが、術後の心機能回復のタイミングに合わせ、かろうじて肝移植に到達することが出来た。両側上大静脈、肝静脈、肺静脈の心房内位置関係から乳児期早期・低体重での心内修復術はchallengingな選択肢と考えられたが、肝移植を目指す場合は、周術期の肝不全の進行も見越して心内修復術のタイミングを計る必要性があると思われた。
【症例】5か月女児。右側相同、両大血管右室起始症、完全房室中隔欠損症、肺動脈狭窄、総肺静脈還流異常症、下大静脈欠損、左上大静脈遺残と診断した。肺静脈共通腔は右側心房に、肝静脈は左側心房に還流していた。動脈管維持目的にPGE1製剤を持続投与し、待機的にBTシャント手術の方針としていた。経時的に肝胆道系酵素が上昇、胆道シンチグラフィーから胆道閉鎖症と診断、日齢55葛西手術施行、その後も肝不全が進行したため肝移植の方針とした。無脾症候群に伴う複雑な心内形態であったが、Fontan循環は困難と判断し、月齢5体重4kgで二心室修復術を施行した。心内修復術後のカテーテル検査では肺動脈平均圧26mmHg、肺血管抵抗6.35U・m2と肺高血圧症を認めシルデナフィルを開始した。なお、肝移植が忌避されるほどの肺高血圧症ではないと判断した。月齢7で腹水と凝固異常が進行し、月齢8に母からの生体肝移植を行った。
【結果・考察】心内修復術後にうっ血の影響と考えられる肝不全の進行を認めたが、術後の心機能回復のタイミングに合わせ、かろうじて肝移植に到達することが出来た。両側上大静脈、肝静脈、肺静脈の心房内位置関係から乳児期早期・低体重での心内修復術はchallengingな選択肢と考えられたが、肝移植を目指す場合は、周術期の肝不全の進行も見越して心内修復術のタイミングを計る必要性があると思われた。