The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster Session

多領域

Poster Session(II-P03-5)

Fri. Jul 12, 2024 5:20 PM - 6:05 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:仁尾 かおり(大阪公立大学大学院看護学研究科)

[II-P03-5-06] HES preparations as filling solution for pediatric cardio pulmonary bypass

横山 翼1, 岩田 祐輔2, 渕上 泰2, 小倉 健2, 森瀬 篤史1, 山田 有香1, 森 通晃1, 岸 健介1, 早田 圭佑1, 高鳥 成美1, 梅田 幸生1 (1.岐阜県総合医療センター 臨床工学部, 2.岐阜県総合医療センター 小児心臓外科)

Keywords:HES, ボルベン, 人工心肺

【背景】人工心肺における血液希釈に伴う膠質浸透圧の低下を抑える目的でHES製剤が用いられる。H E Sは腎機能、血液凝固系への悪影響が懸念され、ボルベンの禁忌事項には頭蓋内出血を有する患者との記載もある。当院でも上記を懸念し使用を控えていたが2022年からサリンヘスに替わりボルベンの使用を開始した。【目的 】小児人工心肺の充填液にボルベンを用いた場合の腎機能・血液凝固系への影響をサリンヘスと比較し、安全に使用できるか検討した。【対象・方法】2020年1月から2024年1月までに小児人工心肺を無輸血で施行した症例中、MUF(15kg以下),再開胸,大動脈再遮断を行った症例を除外、充填液にサリンヘスを使用した群をS群(27例)、ボルベンを使用した群をB群(23例)とした。対象背景:年齢6.8(5.2-6.4)歳,体重20.1(17.3-27.2)kg, CPB時間50(34-56)min,大動脈遮断時間19(13-26)min。対象疾患:ASD33例(+PAPVC4例),VSD7例,その他6例。CPB中・術中・術後24hの水分バランス,急性腎障害(AKI)の発生(KDIGOstage1),脳出血の有無,術後PLT,Fib,Ht,TP,Alb,24h出血量を比較検討した。【結果】対象背景(年齢,体重,CPB時間,大動脈遮断時間)に有意差なし。CPB中・術中・術後24hの水分バランス,AKIの発生,脳出血の有無,術後Fib,Ht,TP,Alb,24h出血量も有意差なし。術後PLTでS群:196(180-222)×104/μLvsB群:225(211-256)×104/μL,p=0.023と有意差を認めた。【考察】ボルベンはヒドロキシエチル基の置換度が低くC2/C6比が高いことから蓄積時間が短く、サリンヘスに比べ有効性安全性が高いとされる。AKIの発生や出血量などに有意差がないことから上記の特長は認められなかったが、血小板が温存される可能性が示唆された。またボルベンを充填液に使用した場合の悪影響は認められなかった。【結論】小児人工心肺においてボルベンはサリンヘスと同様に、充填液として安全に使用できることが示唆された。