[II-P03-6-01] modified Starnes手術後長期遠隔生存例の血行動態ーperforated Tricuspid valve patchの病態に関してー
キーワード:Ebstein奇形, Starnes手術, Fontan手術
重症Ebstein奇形に対するStarnes手術の三尖弁口閉鎖に用いたパッチの長期血行動態はほとんど報告されていない。長期生存例を経験したのでその術式と血行動態に関して報告する。【症例】38週4日、2782gにて出生。生直後よりチアノーゼを呈し心エコーにてEbstein奇形、重度三尖弁逆流と診断。生後3日に動脈管が自然閉鎖し在宅酸素療法にて経過観察していたが、desaturation と心拡大が次第に進行したため、生後6か月の時点でmodified Starnes手術 を施行した。【modified Starnes手術】年齢:6か月、体重:6.43kg。上行大動脈送血、上下大静脈脱血にて体外循環を確立。動脈管索を結紮・切離した。大動脈遮断後に拡大したRAを縦切開し、vent tubeをPFO越しにLAに挿入。RV前壁を三角形に切除し#4-0proleneにて縫縮。MPAを切断し中枢側を肺動脈弁とともに縫合閉鎖。続いて三尖弁前尖を切除し三尖弁口を20x20mmの穴あき(4mm)Xenomedica patchにて閉鎖した。MPA遠位端口をRPAに5mm切り込んで拡大した後にグルタルアルデヒド処理した自己心膜(15 x 10 mm)にてパッチ閉鎖した。次に25 x 15 mm のASDを作成し, RAを縫縮閉鎖。大動脈遮断解除後心拍動下に4 mmゴアテックス人工血管にて右Blalock shuntを作成。体外循環からの離脱は容易で胸骨解放のまま手術を終了。第3病日にニ期的閉胸を行い、第7病日に人工呼吸器から離脱した。【臨床経過】11カ月時、18カ月時にそれぞれ両方向性Glenn手術、Fontan手術に到達し12歳になった現在、心臓カテーテル検査にて中心静脈圧13 mmHg, 心係数 2.9 L/min/m2 、肺血管抵抗 2.0 unit・m2。 心エコーにて三尖弁口パッチ を通過する良好な“to and fro” 血流が確認され心内血栓は認めていない。チアダンスチームで活躍しており運動対応能にも問題がない。【結語】modified Starnes 手術の長期遠隔生存例を経験した。三尖弁口パッチの4mmの穴が有効に機能し良好な運動対応能が維持できている。