[II-P03-6-04] 術後に心室中隔血腫を合併した膜様部心室中隔欠損の伸展方向の検討
キーワード:心室中隔血腫, 膜様部心室中隔欠損, 流出路伸展型
【緒言】心室中隔血腫(IVSH)は心室中隔欠損の術後に生じるまれな合併症である.膜様部心室中隔欠損(pmVSD)での手術に報告が多く,心室中隔を還流する冠動脈中隔枝の分枝の損傷が機序と考えられている.心室中隔の右室流出路は右室流入路と比べ中隔枝近位の血流が豊富であることから,右室流出路進展型のpmVSDにIVSHの合併が多いのではないかと我々は推察したが,IVSHとpmVSDの伸展方向との関連を述べた報告はない.
【目的】IVSHの発症とpmVSDにおける欠損孔の伸展方向の関係を明らかにする.
【対象と方法】2003年1月1日から2023年12月31日までの間に当院で心内修復術を行ったpmVSDの症例(Total Conus Defect(TCD)を含む)を抽出した.IVSH群(I群)と非IVSH群(N群)に分け両群を比較した.IVSHは術中経食道心エコーあるいは術後初回の経胸壁心エコーで認めたものを抽出した.VSDの大きさおよび伸展方向は手術記録より抽出した.
【結果】367例のpmVSDに対し手術が行われたが,このうち手術記録で伸展方向の記載のなかった60例を除外し,I群 14例,N群 293例を抽出した.手術時年齢と体重の中央値はI群 0歳4か月,5.5kgに対し,N群は0歳6か月,5.5kgであった.また欠損孔の平均値はI群 9.8mmに対し,N群は9.6mmであった.TCDを含む右室流出路に伸展を認めた症例の割合は,I群 9例(64%),N群 142例(48%)であった.両群の比較ではいずれの項目も統計学的有意差は認めなかったが,I群はN群と比べて,若年で右室流出路伸展型の症例が多い傾向にあると考えられた.
【結語】心室中隔血腫は若年の右室流出路伸展型の膜様部心室中隔欠損の手術の際に多い傾向がある.
【目的】IVSHの発症とpmVSDにおける欠損孔の伸展方向の関係を明らかにする.
【対象と方法】2003年1月1日から2023年12月31日までの間に当院で心内修復術を行ったpmVSDの症例(Total Conus Defect(TCD)を含む)を抽出した.IVSH群(I群)と非IVSH群(N群)に分け両群を比較した.IVSHは術中経食道心エコーあるいは術後初回の経胸壁心エコーで認めたものを抽出した.VSDの大きさおよび伸展方向は手術記録より抽出した.
【結果】367例のpmVSDに対し手術が行われたが,このうち手術記録で伸展方向の記載のなかった60例を除外し,I群 14例,N群 293例を抽出した.手術時年齢と体重の中央値はI群 0歳4か月,5.5kgに対し,N群は0歳6か月,5.5kgであった.また欠損孔の平均値はI群 9.8mmに対し,N群は9.6mmであった.TCDを含む右室流出路に伸展を認めた症例の割合は,I群 9例(64%),N群 142例(48%)であった.両群の比較ではいずれの項目も統計学的有意差は認めなかったが,I群はN群と比べて,若年で右室流出路伸展型の症例が多い傾向にあると考えられた.
【結語】心室中隔血腫は若年の右室流出路伸展型の膜様部心室中隔欠損の手術の際に多い傾向がある.