[II-P03-6-05] 先天性心疾患術後の漏斗胸に対する,再手術時の胸郭形成術同時施行の有用性の検討
キーワード:漏斗胸, modified Ravitch, Nuss手術
【背景】漏斗胸は先天性心疾患術後の患者の0.2%に合併すると報告されている.単なる美容的な意味合いだけでなく,漏斗胸による胸部変形は,前胸部陥凹度の増強に伴い拘束性変化が強く呼吸循環器症状を伴うほか,グラフトの圧迫や肺血流不均衡による血流障害が懸念される.今回,術後に漏斗胸を呈した患者に対し,再手術の際に胸郭形成術を施行した症例を後方視的に考察した.【方法】2017年から2023年までの6年間で漏斗胸に対して開心術と同時に胸郭形成術を施行された連続9例.胸郭形成術はmodified Ravitch手術またはNuss手術を施行.漏斗胸による呼吸障害やグラフトの圧迫を認める際に胸郭形成術の適応とした.【結果】手術時年齢中央値:月齢22(1-28).体重中央値:9.4kg(2.8-10.8),観察期間中央値:31ヶ月(2-78).8例にmodified Ravitch,1例にNuss手術を施行.同時手術の内訳は,BT shunt:2例,VSD closure:1例,RVOTR:2例,TCPC:2例,PVO解除:1例.左側房室弁形成:1例.前回手術から胸郭形成術までの期間の中央値は10か月(1-19).手術前のHaller index中央値は3.24(2.4-5.0).周術期の再開胸,胸郭形成に起因する止血困難はなし.2例に対し再手術の際にNuss手術を施行されている.【結論】先天性心疾患開胸術後の漏斗胸に対し,再手術時の同時胸郭形成は有用であると考えられた.Nuss手術の方がmodified Ravitch手術よりも正常胸郭に近い形態が得られうるが,低年齢でのNuss手術でのバーの入れ替えや抜去のタイミングも含め,その後の再手術を念頭に入れた手術計画を立てる必要がある.