[II-P03-6-06] 当院での開胸管理と縦隔炎発生率の検討
キーワード:開胸管理, 縦隔炎, SSI
【背景】縦隔炎は予後を悪くする合併症であり開胸管理を行う上で注意が必要である。当院では重症例に対し胸骨ブリッジをおいて厚さ1mmのePTFEシートで皮膚を補填しインサイズドレープで覆って保護し開胸管理を行っている。洗浄処置等は行わず閉胸まではそのままとしている。【目的】当院の開胸管理の妥当性を検討すること。【方法】2021年4月から2023年12月の期間に開胸手術を行った229例を後方視的に検討した。連続変数は中央値(IQR)で表した。【結果】開胸管理群(OC群)が26例、非開胸管理群(NOC群)が203例であり、月齢はOC群2か月(IQR:0-3)、NOC群12か月(IQR:2-57)、体重はOC群3.9kg(IQR:3.3-4.6)、NOC群8kg(IQR:4.4-13.4)、体表面積はOC群0.2m2(IQR:0.2-0.3)、NOC群0.4m2(IQR:0.2-0.6)、Comprehensive Aristotle Score(CAS)はOC群 10.5(IQR:9-16.5)、NOC群6.3(IQR:6-8.5)、手術時間はOC群385分(IQR:336-555)、NOC群238分(IQR:159-295)、体重あたりの輸血量はOC群193ml/kg(IQR:128-420)、NOC群32ml/kg(IQR:11-55)、体重あたりの術中尿量はOC群3.2ml/kg/h(IQR:2.0-5.8)、NOC群3.3ml/kg/h(1.5-6.6)だった。縦隔炎発生はOC群2例(7.7%)、NOC群1例(0.5%)だった。縦隔炎発生に関して単変量解析で有意差を認めた、開胸管理、体表面積に加えて、月齢、CAS、手術時間、輸血量、術中尿量の項目で多変量解析を行ったところ、長時間手術、多量の輸血、少ない術中尿量が縦隔炎のリスクファクターであり、開胸管理はリスクファクターではなかった。【結論】OC群とNOC群の比較ではOC群に縦隔炎が多い傾向がみられたが、多変量解析では長時間手術、多量の輸血、少ない術中尿量がリスクファクターであることが分かり、OC群にこれらのリスクファクターを持つ症例が多いことが推測される。開胸管理そのものは縦隔炎発生のリスクではなく、術後急性期の循環動態が不安定な時期に安定した術後管理を行う上で重要な手段と考えられた。