第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター発表

術後遠隔期・合併症

ポスター発表(II-P03-6)
術後遠隔期・合併症

2024年7月12日(金) 17:20 〜 18:20 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:丸谷 怜(近畿大学医学部小児科学教室)

[II-P03-6-09] 未修復大動脈肺動脈窓に伴うEisenmenger症候群に対する大動脈肺動脈窓修復+両肺移植後に、大動脈肺動脈窓修復部に仮性動脈瘤を合併した1例

永島 利章, 平 将生, 木戸 高志, 渡邊 卓次, 久呉 洋介, 長谷川 然, 上野 高義, 宮川 繁 (大阪大学大学院 医学系研究科 心臓血管外科)

キーワード:Eisenmenger症候群, 大動脈肺動脈窓, 仮性動脈瘤

【はじめに】 大動脈肺動脈窓(APW)は上行大動脈-主肺動脈間の交通を特徴とする稀な先天性心疾患であり、未修復例では進行性の肺高血圧をきたす。今回、未修復のAPWによるEisenmenger症候群に対し29歳時にAPW修復及び両肺移植を行い、術後9ヵ月目に上行大動脈のAPW修復部に仮性動脈瘤を合併した症例を報告する。
【症例】 症例は30歳女性。5歳時にAPWおよび肺高血圧症と診断された。20歳時の心臓カテーテル検査では、室内気で大動脈圧94/57mmHg、肺動脈圧99/65(80)mmHg、肺血管抵抗25Wood unit/m2であった。23歳で肺移植登録、29歳時にAPW修復および脳死ドナーによる両肺移植を施行した。人工心肺を確立後、心停止下に上行大動脈-主肺動脈間の交通を肺動脈側で離断した。大動脈壁は菲薄化しており脆弱であったため、大動脈側の断端は短冊状のフェルトを用いて閉鎖し、肺動脈側は直接閉鎖した。心停止解除後に両肺移植を行った。術後経過は良好で、右室機能は心臓MRIでRVEF60 %と維持されており、術後3か月後に自宅退院となった。 術後8ヵ月のCTでは異常を認めなかったが、術後9ヵ月に胸痛が出現した。CTでAPW修復部の上行大動脈に径25mmの仮性動脈瘤を認め、緊急人工血管置換術を施行した。術後経過は良好で術後のCTおよび心エコー所見に異常はなく、術後11日目に退院した。
【まとめ】 APW修復術および両側肺移植後にAPW修復部の仮性動脈瘤を生じた症例を経験した。