The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Panel Discussion

Panel Discussion 9

Fri. Jul 12, 2024 8:00 AM - 9:30 AM ROOM 5 (4F 413+414)

座長:石戸 美妃子(東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)
座長:平 将生(大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科)

[II-PD9-3] 小児重症心不全治療の現在の限界

坂口 平馬 (国立循環器病研究センター)

Keywords:補助人工心臓, 重症心不全治療, 限界

2010年の臓器移植法案改定以来、本格的に小児心臓移植医療は大きな変貌を遂げている。小さな体格に成人用の体外式補助人工心臓(VAD)を装着するか、カテコラミン投与下で海外渡航移植に頼らざるを得なかったところから、EXCOR pediatricの導入、植込み型の学童児への応用、先天性心疾患術後患児への応用そして植込み型VAD+Total cavo-pulmonary connection(TCPC)というBiVADに変わる挑戦をしてきた。待機期間の長い中でも様々な挑戦の結果、海外渡航移植依存から国内移植主体へと変化してきた。今回のテーマは本邦における小児重症心不全のadvanced heart failure treatmentの挑戦のなかで見えてきた限界について考えていきたい。我々の経験の中で感じた限界について実際の症例をもとに考察する。まず基礎疾患の限界としてのミトコンドリア病について5例の経験から考える。全例でVAD装着を行っているが、学童期に心不全を発症し植込み型VAD装着に至ったPOP3変異の症例以外は、乳児期発症で待機期間中に心外臓器障害を併発し死亡した。次に、EXCOR pediatricの装着例において低月齢および低体重に関する限界について乳児期装着例を振り返って考察する。1台で両心補助が可能な優れた機械であるが、出生直後の心筋梗塞の新生児においては、EXCOR装着までの戦略、タイミングは非常に難しく死亡した。最後に植え込み型VAD症例の適応限界について考察する。現在の日本の保険診療においては、植込み型VADは一つしか装着することはできない。では右心不全を併発した、もしくは右心不全から左心不全が併発するようなEbstein病や不整脈原性右室心筋症(ARVC)などはどうしたらいいのでしょうか。そこで我々が経験した重症ARVC2例を比較して考察したい。