[II-PSY2-3] 動脈管依存性肺動脈血流減少または動脈管閉鎖兼右室流出路高度狭窄に対する体肺動脈短絡術の外科治療成績
キーワード:体肺動脈短絡術, 外科治療成績, 動脈管依存性肺血流
【背景】動脈管依存性肺血流減少疾患に対して、本邦でも動脈管ステント留置術が導入されようとしている。このような疾患に対して現在まで体肺動脈短絡術(シャント手術)が行われてきた。今回、動脈管形態や肺動脈狭窄の有無と、シャント手術の外科治療成績を検討した。【方法】対象は2012年から2022年までの動脈管依存性肺動脈血流減少または動脈管閉鎖兼右室流出路高度狭窄例52例。診断は二心室循環 36例(DORV 11, PA/VSD 11, TOF 10, TOF/AVSD 2, Ebstein 1, ccTGA/PS 1)、単心室循環16例(TA 6, hypo RV 3, SRV 2, その他 5)。術後観察期間は平均5.3年(最長11.8年)。【結果】シャント手術時平均年齢は2.7ヶ月(13日-5ヶ月)、体重は4.5 kg(2.5-7.1)であった。人工血管サイズは3mm 1例(体重 2.5kg)、3.5mm 13例(平均体重3.8kg、2.5-5.8kg)、4mm 30例(4.6kg、3.4-5.5kg)、5mm 6例(4.3kg、4.3-7.1kg)であった。シャント中枢側は全例頚部分枝動脈に吻合し、肺動脈側吻合は、主(中心)肺動脈46例、左あるいは右肺動脈6例であった。シャント手術時に動脈管は全例閉鎖した。肺動脈狭窄に対して肺動脈形成を同時に行った症例は22例(42%)であった。肺動脈低形成を17例(33%)に認めた。肺動脈狭窄あるいは低形成を認めた症例は36例(70%)であった。動脈管の形態は、2カ所以上の湾曲を伴った形態が31例、1カ所の湾曲が6例、直線形態が4例、不明1例、術前から動脈管閉鎖が10例であった。5年累積生存率は82.4%であった。シャント関連死を4例(7.7%)に認めた。シャント手術後の次回手術前PA indexは平均461 (87-816) であった。43例(82.7%)が最終手術に到達した。【結論】動脈管依存性肺動脈血流減少または動脈管閉鎖兼右室流出路高度狭窄例に対するシャント手術の成績は近年向上している。シャント手術と同時に肺動脈狭窄解除術を行うことで肺動脈の成長も得られる。外科手術は複雑な動脈管形態や肺動脈狭窄に対応できる治療である。