[II-PSY2-4] 出生後早期に手術介入を必要とした肺血流減少性心疾患に対するシャント手術の成績
キーワード:Blalock-Taussigシャント, 肺血流減少性疾患, 新生児・乳児期早期
【背景】肺血流減少性心疾患にとって体肺動脈シャント(SPS)は重要な姑息術であるが、現在でも死亡率の高い手術の一つでもある.昨今,SPSに替わり動脈管ステント(DS)使用という選択肢も考慮され始めている中で,今一度SPSの適応・成績などを再検討する必要がある.【対象と目的】2004年1月~2023年12月の期間に新生児・乳児期早期にSPSを施行した動脈管依存性血流減少性疾患・類似疾患(MAPCAを除く)のうち,主要な同時手術(TAPVR/Starnes等)を行った症例を除いた221例が対象.患者背景や予後を明らかにする事を目的とした.【結果】手術時日齢は33日(4-119),体重は3.4kg(1.6-8.5).単心室:98(44.6%),二心室:123例(55.4%). 肺動脈弁は閉鎖:107例(48.6%),狭窄:114例(51.4%)だった. On pump症例は63(28.5%)で,同時手術(重複あり)はPA形成:21,ASD拡大:9,PDA閉鎖:100,その他:3.だった.SPSサイズは3mm:21(9.4%),3.5mm:124(56.5%),4mm:67(30.0%),5mm:9(4.1%)だった.在院死亡は5例(2.2%)だった。ECMOは10例(highflow:4,shunt閉塞:2,その他:4).同一入院中に肺血流調整を要した症例は27例(shunt追加・サイズアップなど:17,shuntにclip追加:2,RV-PAへ変更:3,その他:5)だった.心内修復前,Glenn前にSPS追加した症例は62例だった.単心室症例では9ヶ月で82例がGlenn到達.待機が3,drop out:3.その後のカテ評価ではPAI:262と肺動脈の発育も得られた上,1.9歳で73例(74.5%)がFontan到達していた.Fontan待機・適応検討中は6例だった.二心室症例では110例(89.4%)が心内修復され,待機:5例,drop out:2例だった.【結語】当院における出生後早期SPSの成績は比較的安定していた.SPS追加を必要とする症例をやや多く認めていたが,highflowによるECMOや死亡は少なく,Fontan前には肺動脈の発育も得られていた.耐術能などから低出生体重児や特殊な染色体異常などに関してはDSの使用も考慮されるが,引き続きSPSはfirst palliationとして十分に選択できると考える.