[II-PSY2-5] 当院で施行した動脈管依存性肺循環に対する動脈管ステント留置術の治療成績
キーワード:PDA stenting, 動脈管, カテーテルインターベンション
【はじめに】動脈管依存性肺循環に対する動脈管ステント留置術(PDA stenting)は、外科的体肺シャント手術と同等の治療成績が報告されているが、本邦では、ほとんど行われていない。【目的】当院で施行した動脈管依存性肺循環に対するPDA stentingの治療成績を明らかにすること。【方法】PDA stentingの手技成功率や再介入率について診療録を用いて後方視的検討を行った。【結果】2019年6月から2023年8月の間に11例に対してPDA stentingが行われており、二心室循環10例、単心室循環1例(PAVSD 4例, TOF 2例, 孤立性一側肺動脈近位部欠損 2例、PAIVS 1例, DORV 1例, DILV 1例)。施行日齢中央値24日(3-238日)、体重中央値3.0kg(2.2-4.5kg)。PDA stentingの適応は、治療戦略上、ステント優位と判断した症例(non-confluent PA)4例、外科的体肺シャント不全2例、基礎疾患3例、低体重2例であった。動脈管起始部は大動脈弓下面7例、腕頭/鎖骨下動脈3例、下降大動脈1例、穿刺部位は腋窩動脈7例、大腿動脈4例であった。生後3ヶ月以上で施行した13 trisomy、PAVSDの1例を除き、10例(91%)でステント留置は成功した。留置ステントサイズは2.5mm 3例、3.0mm 5例、3.5mm 2例。手技時間中央値60分、透視時間中央値14分。ステント留置成功10例のうち6例(60%)で追加カテーテル治療を施行し、うち2例はステント再留置、1例は3回の追加治療を施行した。10例中1例は早期のステント狭窄により予期せぬ手術介入となったが、7例は予定手術が行われ、1例は手術待機中、1例は保存的治療継続中である。【まとめ】当院での動脈管依存性肺循環に対するPDA stentingの適応は限定的であるが、手技時間・透視時間は短く、手技成功率は高かった。再介入率は高いが、計画的に追加拡張を行うことで、良好な経過を得ることが出来た。